SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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44.沙耶、推して参いる! 前編

 

 

良くあるベタベタシチュエーションw

 

「リキ、リキっ」

「どうしたのクド?」

――朝、席に着くなりクドが寄ってきた。

「なんでも今日、私たちのクラスに転校生が来るそうですよっ」

「え、そうなの?」

「どうしたらいいのでしょうっ?」

「いや、どうもしなくていいと思うよ」

「わふーっ! どうしてそんなに冷静でいられるのですかーっ」

いやまあ…転校生が来るのは楽しみだけど、そこまで興奮するほどじゃないかな。

「なるほどな、謎の転校生か」

「これはひじょーにマズイな」

腕組みをして、何かわからないけど真剣に悩んでいる鈴。

「そんなに警戒しなくて大丈夫だから」

「転校生さん、男の子かな? 女の子かな?」

「おねーさんとしては可愛らしい、なるべくガードが薄い女の子希望だ」

「来ヶ谷さんはいったい転校生に何する気なのさ…」

いつの間にかみんなも僕の周りに集まってきていた。

「転校生か、期待しすぎると本人を見たときに肩を落とすことになるぞ」

いつも通りクールな対応の謙吾。

「……謎の転校生ですか」

「……その謎の転校生は恐らく、美形で超能力者ですが男色ではないかと」

「ダンショク? 西園さん、ダンショクとはいったいなんですか?」

「クーちゃん、それはあれですよ」

「男の子なのに男の子が好き……ってそんな人がここに来るですかーっ!?」

「来るですかーっ!?」

「……来ます」

「「ええええええーっ!?」」

ハッキリ言い切っちゃった西園さんと、その言葉に顔を赤らめながら右往左往する小毬さんとクド。

「…いきなり変なイメージ植え付けないようにね」

「転校生は野郎か!? 筋肉か!? まさかオレをも上回る筋肉か!? 理樹をもうっとりさせる上腕二頭筋の持ち主かっ!?」

「さすがにそんな筋肉の――」

「みんなー、静かにしてくださいね、出席を取りますよー」

先生が入って着て、同時に解散となる。

「――今日はみんなに大事なお知らせがあるの」

「もう知ってる人も…多いみたいね、うふふ」

先生の言葉にクラス全体が浮き足立つ。

「じゃあ、さっそく新しくこのクラスに転入してきたコを紹介しちゃいますね」

「――転入生さん、どうぞお入りください」

『はい』

 

ガラガラガラ~、スタスタスタ。

 

「――う」

「うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーーっ!!」

絶叫にも近い歓声が空気を振動させた!

転校生は、スカートを翻し長い髪をなびかせ、凛とした様子で歩いてくる。

「真人の予想、全部違ったね」

「ケッ…女かよ」

真人は転校生が女の子でガッカリしたようだが、クラスは大歓声の真っ只中だ!

 

「か、か、か、くぁわいいっ! 可愛いぜ可愛いぜ可愛いぜチキショーーーッ!」

「え、うっそ女!? ありえなくないっ!? キーーーッ!!」

「なんだよお前ら、女だからって騒ぎすぎだろ? まあ、コクられたら付き合ってあげてもいいけど」

「なななんだこの胸のときめきは!? 計算不能だと!? この僕が…恋をしただと!!」

「私…ありかも。うん、ありかも! そうよ、ありだわっ!!」

「男子ー!! ホント、マジウザ過ぎなんだって!! たかが女の子一人来ただけでさぁ! ばっかみたい」

――全ての歓声が転校生に向けられている。

 

「みんな、静かにしてくださいね」

「では、自己紹介お願いします」

「はい」

 

――カッカッカッ

黒板にチョークを走らせる。

「朱鷺戸沙耶、といいます」

「みなさん宜しくお願いします」

「沙耶さんはこちらに来たばかりで、慣れない学校と寮生活です……。みなさん、協力できることがあったら進んで協力してあげてくださいね」

――がやがやわいわい――

ちらほらと、「告白」「抜け駆けするな」「一目で君にフォーリンラブ」「女でも大丈夫だろうか」といった言葉が交わされている。

 

「……?」

「どうした、理樹っち?」

「あ、いや…」

今、転校生のコ――朱鷺戸さんが僕を見ていた…気がする。

 

 

――朝のHRが終わってすぐ、朱鷺戸さんはクラスのみんなに囲まれて質問攻めにあっていた。

「そんなに騒ぎ立てるもんかねぇ」

「あの容姿だ、仕方あるまい」

僕と真人、謙吾はその様子を僕の席から傍観していた。

すると。

「ちょっとごめんなさい」

朱鷺戸さんがみんなをかき分け、中心から出てきた。

――ツカツカツカ。

真っ直ぐに歩いて来る。

…僕の方へ。

「なんだ?」

「さあ?」

僕たちの疑問を余所に、朱鷺戸さんは僕たちの所――僕の机の前に立った。

「?」

 

――ばんっ

 

いきなり僕の机に両手を置いた。

「え、な、なに?」

「あなた、名前は?」

「え、僕?」

「そうよ、あなた以外にいないでしょ」

「直枝理樹だけど……」

「そう、直枝くんね」

いったい何なんだ?

謙吾と真人に目をやると、二人とも訝(いぶか)しげに様子を見ている。

「直枝くん」

「な、何?」

 

「あたし、あなたのことが好きになりました」

 

…………。

……。

「え、ええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇーーーっ!?」

 

もちろん教室も大絶叫に包まれたことは言う間でもない。