SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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61.秘密く・だ・さ・い(理樹女装モノ)

 

 

#シチュ:理樹が女装にハマってしまった! しかしそれは小毬しか知りません。

 

「うーん、今日もいい天気」

僕は窓を開け放ち、外の天気を見た。

綺麗な秋晴れが広がっている。

ちなみに真人はトレーニングらしく部屋を空けている。

恭介と謙吾は、来ヶ谷さんが「いったいどっちがモテるんだ?」と言い出したことを皮切りに、何かのミッションでどこかに行ってしまった。

「僕も準備しなきゃ」

そう。

今日は小毬さんと一緒に、楽しみにしていた買い物だ。

 

校門に着くと既に小毬さんの姿があった。

「待った、小毬さん?」

「私も今来たところだよー」

「理樹ちゃん、今日はノーメイクさん?」

「あはは…さすがに女の子の格好して男子寮は歩けないからね」

「そうだねー、もし理樹ちゃんが男子寮で女の子の服着てたら、オオカミさんに囲まれちゃうよー」

さらりと物騒なことを言う小毬さん。

「じゃあ、行こっか」

「うん」

 

 

「――うわーっ」

小毬さん一押しの店には、可愛らしい服やアクセサリーがずらりと並んでいた。

「あ、小毬さんにはこの帽子とか似合うかも」

「では、ぽふっと」

ボンボンのついたニット帽を被る。

「小毬、冬仕様なのですっ」

「とっても似合ってるよ」

「え~買っちゃおうかな…」

さらに店内をくるくると回る。

「ねーねー、理樹ちゃん理樹ちゃん、こっちきて~」

「え、なに?」

「この髪留め着けてみて~」

「こんな感じ……でどうかな?」

鏡を見ながらサイドの髪を留め、耳を出す。

「うわぁあ、理樹ちゃん可愛い~っ」

「あとね、これで横の髪をピヨッとツインテールにしてみましょう」

「僕の髪だとダックスフントのしっぽくらいにしかならなそうだけど」

「そうかな……――うん、これはこれで可愛いよ~っ」

鏡を見つめてみる。

普段から僕は女の子顔だけど、こうしてアクセサリーで髪をいじると……。

女の子だった。

「理樹ちゃん、うれしそうだね」

「え、そう見える?」

「うん、鏡を見るときの表情がね」

「すっかり女の子さん」

やっぱり僕…。

着飾ることにドキドキしてる…。

知られちゃいけない秘密の趣味、というのが余計に胸を高鳴らせているのかもしれない。

 

 

買い物を済ませて外へと出る。

僕は気に入ったニットワンピースと小毬さんに選んでもらったアクセサリーを買ってそのまま着替えることにした。

小毬さんも冬物を数点買ってニコニコ顔だ。

街のアーケードを二人で歩く。

「さすが理樹ちゃんだね」

「え、なにが?」

「だって、店員さんも理樹ちゃんのこと女の子だと思ってたんだよー」

店員さんは僕のことを疑うどころか「学校だと貴女の周りの男子がうるさいんじゃない?」なんて言われてしまった。

「ちょっと照れるよ、あれは…」

「私も理樹ちゃんがいつも女の子のカッコしてたらモッテモテだと思うよ~」

それはそれで困りそうだ…。

「あ、理樹ちゃん少しここで待ってて」

「どうしたの?」

「私ちょっとおトイレ」

「うん、いってらっしゃい」

「いってきま~す」

…………。

……。

しばらくして。

小毬さんがこっちに向かって歩いてきて…。

「?」

誰かに呼び止められていた。

僕もそちらに向かって歩いていく。

相手の姿が見えてきた。

って、あれは……謙吾だっ!!

(ひゃーっ!?)

僕は急いで身を隠した!

(な、なんでこんなとこに謙吾がいるのさーっ!?)

なんてったって…。

僕の今の格好は、髪は結ってるし服なんて…可愛いワンピースだ!!

み、見られたら一巻の終わりだっ!

二人の話し声がところどころだけ聞えてくる。

「謙……ど……の?」

「来ヶ……恭介と俺…どちら……モテる……ナンパ対決……」

うーん、良く聞えない。

……。

正直、早くどこかに行ってほしいっ!

そのとき。

「――お嬢さん」

後ろから声をかけられた。

「はい、なんでしょ――……うぁっ!?」

後ろを向くとそこには…。

恭介が立っていた!!

はっ!? ……いやいやいやいや……ハァァァァァっ!?

ぼ、ぼ、僕……今、女装してるところを恭介に見られたっ!!

どどどっどどどっどどどどっどど、どうしようっ!?

頭の中はパニック状態だ!!

「ああ、すまない。まさかそこまで驚くとは思わなかった」

「だ、だだ、だってっっ!」

僕がどうしていいかわからずアタフタしていると、スッと恭介が僕の方に手を出してきた。

手にはハンカチ。

「――そこで、このハンカチを落としましたよ、お嬢さん」

「………………へ?」

「このハンカチ、お嬢さんのでは?」

……あ、あれ? お嬢さん?

恭介の顔を見つめ返してみる。

そこには……まぁ、なんというかセールススマイル的な笑みが浮かんでいる。

これ、もしかして……。

僕って気付いてない?

それに。

「そのハンカチ、僕――私のじゃないけど」

恭介の手にある高級そうなハンカチは僕のではない。

「おっと、人違いだったか」

「けど…俺はこのハンカチに感謝しなきゃいけないのかもな」

「?」

「だってそうだろ?」

「……このハンカチでキミのような素敵な女性にめぐり会えたのだから」

うわっ!?

恭介の歯が白く輝いているっ!

――じゃなくて!!

これってまさか……。

ナンパっ!?

それってつまり、え? ええっ!?

僕が、恭介に、ナンパされたってことーっ!?

「もし良かったら、キミとメールアドレスを交換したい」

「古臭いが…友達から、なんて…その、ダメか?」

「いやっ、それはそのっ、あ、あのっ」

反射的に肩から下げているポーチの中の携帯電話を触ったけど…。

携帯電話を見られた時点で僕だってバレちゃう!!

そうしていると。

「ほわぁっ!? 謙吾君、そっちだめ~っ」

「ん、どうしてだ?」

すぐ後ろに謙吾が迫っていたっ!

「うわわっ!?」

――どさっ、カランカラン~

ビックリした拍子にポーチを落としてしまった!

中に入っていたものも路上へ飛び出す!

「ああっと、大丈夫。俺が拾います」

紳士的に僕のポーチの中身を拾う恭介。

恭介が僕の携帯を手にする。

「ああっ!?」

「この機種、いいですよね。俺の弟みたいなのがいるんですけど。理樹っていいますが」

「そいつと同じ…………――」

恭介が止まった。

「ストラップも同じ……――」

あ、ああ、ああああっ!?

恭介の驚愕の目が僕に向いた!

「……………………………………………………」

ゴクリとツバを飲む音が聞える。

「……まさか、おまえ…………理樹か?」

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!?

バレたっ!!!

しかも思いっきり女装してるところ見られたぁぁぁーーーっ!!

さらに後ろにいた謙吾まで、こっちを覗き込んだ瞬間顔を真っ赤にして硬直しているしっ!!

「い、いやっ、恭介っ、こ、これはね、これはねっ!」

な、なんて僕は言い訳すればいいのコレっ!?

僕がアタフタしていると、恭介の顔が見る見る赤く染まるっ!

「俺は理樹をナンパしちまったのかぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」

「って、そっちーーーっ!?」