#シチュ:小毬の作戦で、鈴が佐々美がいるとは知らずに小毬の部屋に泊まりに来てしまいました。
「うみゃっ!? こんなヤツがいるところで寝れるかーっ!」
「それはこちらのセリフですわ!! 神北さん、どういうつもりなのですの!?」
「二人ともいつもケンカばっかりしてるので、今日は仲良しになってもらおうと思って鈴ちゃんをお泊りに呼んだのです」
この子はいったい何をかんがえているんですの!?
棗さんとわたくしが仲良く!?
ありえませんわ!
「いくらこまりちゃんの頼みでもそれだけは聞けない…」
「わたくしも棗さんと仲良くなるくらいでしたらネズミと仲良くなったほうがマシですわ!」
「なにぃー!」
「なんですの!」
「「ふんっ!!」」
「ふ、ふえぇ…ケンカしちゃダメだよ~っ」
神北さんの方を見ると、涙目になってしまっていた!
「二人とも仲良くしよ、ね?」
う……。
そんな潤んだ目で見られるとわたくしが神北さんにひどいことをしているみたいですわ…。
棗さんもやっぱり困った顔。
どうやら向こうもそう思っているみたいですわね。
「わ、わかりましたわ! きょ、今日だけですわよ」
「うみゅ…こまりちゃんを泣かせるわけにはいかない」
「本当っ、やった~」
神北さんの顔がぱ~っと明るくなった。
「で、わたくしたちはどうすればいいんですの? わざわざ仕組んだからには何かあるのでしょう?」
「うん~」
「今日はね」
えへへ、と笑う神北さん。
「鈴ちゃんとさーちゃんが一緒のベッドで寝てもらいます」
「「はぁぁぁぁぁ~~~~っ!?」」
「じゃあ、電気を消すよー」
………………。
…………。
……。
「うわっ!? くちゃくちゃさささ臭がするっ!!」
「わたくしのベッドに入るなりそんな訳がわからない文句つけないで下さる!?」
「ふみゃっ!? お布団までさささ臭だぞっ!?」
「そりゃわたくしが毎日使っているお布団なんですから当たり前ですわっ! 文句があるなら被らなければいいでしょう!?」
「くんくん……うあっ! 枕までさささ臭だっ!」
「わざわざ枕のにおいまで嗅ぐなぁーっ!!」
「全身さささ臭で具合が悪くなってきた…今日はいやな夢をみるにちがいない」
「むっきーーーっ!! 神北さんっ! やっぱり棗さんを……――」
「くかー……――」
「……」
「……」
「こまりちゃんはもう寝てるな」
「まだ電気を消してから3分経ってないですわよ…」
「……」
「……」
「仕方ない……さささのベッドでがまんしてやろう」
「それはわたくしのセリフですわ」
「このお布団はおまえのにおいがするから、かけたくない」
「掛けたくないって…今は11月ですわよ? 風邪を引きますわ」
「おまえのにおいが付くくらいなら風邪を引いたほうがマシだっ」
「そこまで言うならぜーったい貸しませんわ」
「「ふんっ!」」
「……」
「……」
「……」
「……」
ベッドの端と端。
離れられるだけ離れているわたくしと棗鈴。
……。
…………。
あれから何分ぐらい経ったのかしら?
5分? 10分?
寝苦しい時間が続く。
けっこう冷え込んできましたわね…。
……わたくしは布団に包まって温かいけど、棗さんは意地を張って布団はかけていない。
フン、わたくしには関係ありませんわ。
「――くちゅんっ」
棗さんからくしゃみが聞こえた。
……自業自得ですわね。
さささ臭とか訳のわからないことを言うから。風邪でも引けばいいんですわ。
「――くちゅんっ、くしゅっ…うぅ」
寒そうな声。
背を向けているので棗さんの姿は見えない。
けど、おそらく体を丸めて寒さをしのいでいるのだろう。
……ふん、わたくしには関係ありませんわ。
「くしゅんっ、くしゅんっ」
風邪を引いてしまえばいいんですわ。
「ずずっ……くちゅっ……ううう……」
フン…。
「くしゅんっ、くしゅんっ……ううう……」
「…………」
「くしゅんっ、くしゅんっ……へっくしゅんっ、くしゅんっ」
――ばふっ!
「…………これ、掛けなさい」
布団を棗さんに掛けていた。
「…いやだ」
けど、すぐに布団を蹴り飛ばす棗さん。
「意地を張ってないで掛けなさいっ」
「いやだっ」
払おうとする棗さんの腕を押さえた。
「え…?」
まるで氷のような冷たさですわ!
それに小刻みに震えてさえいる!
「こんなに冷たくなるまでどうして我慢していたんですの!」
「うっさいっ!」
それでも棗さんは布団を払い除けようとする。
「風邪を引かれたらわたくしが神北さんに叱られますわ!」
「そんなん知るかっ」
もうっ!
なんて強情なヤツですのっ!!
けれど体を丸めて縮こまっている辺り、寒さが相当応えているようだ。
暗闇でも震えているのがわかるくらいだ。
11月の夜、こんな中で意地を張って布団も着ずに寝たら……。
「……」
「……」
「……わかりましたわ。何が何でも布団は掛けないと言うのですわね?」
「そうだ」
「なら――」
――だき~~~っ!
背を向けている棗さんの体に抱きついて布団を被った!
「んみゃっ!?!? ささ…!? ななななな、なにするんだーっ!」
「あなたに風邪を引かれたらわたくしの寝覚めが悪くなるんですの! 無理矢理にでも温まってもらいますわ!!」
「う、うみゃーっ!! はなせーっ!」
「離しませんわっ!」
ジタバタとしている棗さんの体をぎゅ~っと押さえつける!
「こんなに冷えてしまって! 少し温まりなさいっ!」
「ふ、ふみゃ~っ!? だっ、抱きつくなーっ!」
「こら、暴れないでくださる!」
「うあっ、足をからめてくるなっ! そんなにくっつけるなーっ」
「暴れるのをやめたら離しますわっ」
「できるかーっ」
「なら押さえ込むまでですわっ」
「抱きつきすぎだっ、ぼけーっ」
「押さえ込んでるんですから当然ですわっ」
「もう暴れないからはなせーっ」
「ちょちょちょっと棗さん、こっち向こうとしないでくださらないっ!?」
「うあぁーっ、ささみがへんなところさわったぞっ!」
「そっちが無理に体の向きを変えるからですわっ!!」
「こうなったら仕返しをするしかないな…こちょこちょこちょ」
「へ…って、ちょっとくすぐらないでくだ…あはははっ、やめ、やめなさいなっ! そっちがその気なら…これならいかがかしらっ」
「にゃーっ!? そ、そんなにぎゅって抱きつくなーっ! 動けないだろっ!」
「あら? 棗さんが使ってるシャンプー…もしかしてわたくしが使ってるのと同じ?」
「なにぃ? くんくん…そうか?」
「そうですわ。だって…」
「こらっ、あたしを嗅ぐなっ」
「やっぱり同じですわ」
「うみゅみゅ…髪サラサラって遊ぶな」
「棗さんだってわたくしの髪を触ってるじゃないですの?」
「ふみゃっ!? さ、ささみの髪が長いから手が勝手に手がいっちゃっただけだっ」
………………
…………。
……。
翌日。
「ふわぁぁ…鈴ちゃん、さーちゃん、おはよ………………」
「「くぅ……くぅ……くぅ……」」
「棗さんあったかいですわ……くぅくぅ……」
「ささみ…足を絡めてくるのはひきょうだぞあったかいぞ……くぅくぅ……」
「って、ほわぁあぁあぁあぁあぁあぁーーーっ!!!」
「ふ、二人で抱き合って寝てるっ!? どどどどどどどどどうしようっ!?」
「なななな仲良くなってって言ったけど、どどどどうしてこうなってるのーっ!?」
以上ですw
小毬ちゃん、錯乱w
小毬の心の声「いや、仲良くなりすぎだろお前ら」
そりゃそうですよね。友達同士が仲良く抱き合って寝てたら焦りますw