――放課後の誰もいない教室で棗さんと二人、ポッキーを食べている。
「なんですの、このポッキーとプリッツの量は?」
机の上にはポッキー2箱にプリッツが2箱。
「今日はポッキーとプリッツの日だからな」
「食べなきゃポッキー神さまの天罰がくだるぞ」
「いったいそれどんな神様ですの…」
「なんかすぐポキッと骨折しちゃう神さまだ」
「また、ずいぶんと安っぽい神さまですわね」
どうせまたお兄さん辺りに騙されてるに違いありませんわ…。
けれど…。
そんな何でも素直に信じちゃうところがまた可愛いんですけど。
「棗さん、あーんなさいな」
「ん? あ~ん」
可愛らしく開いた口に、ポッキーを乗せる。
「ありがとだ♪」
「じゃあ、ささみもあーんしてくれ」
「ええ、あーん」
棗さんに向かって口を開ける。
「ちょっと目も閉じてくれ」
「目もですの? いいですけど」
言われたとおりに目を瞑る。
すると。
――かしっ
肩を手で挟まれる感覚。
「?」
「もういいぞ」
目を開けると、棗さんがわたくしの後ろに回りこんでいた。
「どうしたので――あむっ」
振り向くと口の中にポッキーが入った。
ポッキーを見ると、先には……棗さんの顔。
「な、なんですのっ?」
「んーんん、んえ(いいから食え)」
「仕方ありませんわね…」
わたくしももう一度ゆっくりと目を閉じた。