SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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96.天元突破ささみちゃん ~本人達はわかってない編~

 

 #シチュ:中庭の木の下。友達以上の関係にある…かもしれない鈴と佐々美がそこでお菓子の時間を楽しんでいます。

 

――中庭の木陰。

 季節は春。

 寒くもなく暑くもなくうららかな天気。

「――それでな、それでな、くるがやが――」

 わたくしの隣では棗さんがお菓子を頬張りながら、嬉しそう話を紡いでいる。

 はぁ…。

 なんて心地よいのでしょう…。

 

「――み、ささみ、あたしの話聞いてるか?」

「あ…ごめんなさい、聞いてませんでしたわ」

「おまえ、いつもそうだな」

「そんなことありませんわ…たぶん」

 話は聞いてるけど、棗さんの顔を見ていると耳から抜けてしまう…なんて言えませんわ…。

「だからな、くるがやに言われたんだ」

「何をですの?」

「あいつが言うには、『鈴君は俗に言う百合だな』だそーだ」

「百合…ですの?」

 百合と言ったら…あの白い花ですわよね?

「そーだ、くるがやはたしかにそう言った――ささみ、コアラのマーチ食べるか?」

「ええ、いただきますわ」

「おまえには特別に、うーみゅ……これだな、このまゆげコアラをやろう」

「あーんしろ」

「では遠慮なく…あ~~~ん」

 

――ぱくっ

 

「うわっ!? あたしの指まで咥えるなっ」

「いいじゃないですの、別に減るわけでもありませんし」

「へるわっ」

「いつものことなんだから、そろそろ慣れるべきですわ」

「うーみゅ…慣れたけど、いきなりだとさすがにびっくりする」

 ホント、いつも可愛らしい反応を返してくれますわね、この子は。

「――来ヶ谷さんが言う百合というのはやはりアレではないかしら?」

「なんだ、アレって」

 棗さんがクリクリとした期待の篭った瞳でわたくしを見据えてくる。

「――あなたが百合の花のように可憐ということですわ」

「…!」

 わたくしがこう言っただけで、まっかっかになる棗さん……。

 はぁ…なんて可愛らしいのですの…。

 ……。

「…あら?」

「なんだ、ささみ?」

 そういえば……。

「西園さんが貸して下さったマンガ本にお花の比喩表現があったような……」

「なにぃ?」

 たしか、薄い本ですし鞄の奥にこっそり忍ばしていたはず…。

 

――ゴソゴソ、ゴソゴソ。

 

「ありましたわ、この本ですわ」

「ちょっとそれあたしにも見せろっ」

 棗さんがわたくしから本を奪おうと私に乗りかかってきた!

「ちょっ、ダっ、ダメですわっ」

 この本はハードですし、さすがに仲の良い棗さんといえども見せるわけにはいきませんわっ!

「いーからみせろーっ」

「ダメったらダメですわーっ」

「うみゃーっ! あたしにも貸せーっ」

「だから、ちょっと、そんなにのしかかって来ると……きゃ、きゃっ!?」

「ふみゃっ!?」

 

 どし~んっ!

 

「あたたたた……棗さんがのしかかって来るから…」

「ふみゃみゃ……ささみがちゃんと座ってないのが悪い」

 二人で芝の上に倒れこんでしまった。

 ……わたくしが棗さんに押し倒された格好。

 わたくしに重なっている棗さんの温もりが伝わってきますわ…。

「……ささみ」

「……なんですの?」

「いいかげん見せろ」

「いくらあなたの頼みだからといってもそれはダメですわ」

「……」

「……」

「……」

「……」

「仕方ない、これだけは使いたくなかった」

「何をしたって無駄ですわ」

「降参するなら今のうちだぞ」

「無駄ですわ」

「そうか…」

 棗さんの両手がわたくしの横に動いて…?

 

「こちょこちょこちょこちょこちょ~~~~~だっ!」

 

「ひゃっ!? な、なつ、あはははっ、やめっ、わっ、やめなさい~っ」

 こちょこちょこちょ~~~!

「そういえばおまえ、脇も弱点だったな。ばんざーいしろ」

「い、いやですわっ! ひゃっ、きゃっ!?」

 こしょこしょ、こちょ、こちょこちょこちょ~~~!

「あはははっ、くるし、くるしいですわっ、ちょっ…こ、こうなったらわたくしもっ」

「必殺・抱きしめ攻撃ですわーーーっ!!」

 ぎゅぎゅぎゅ~~~っ

「うわっ、やめろっ、ぎゅってするなーっ」

「ええい、うっさいですわーっ! ぎゅっぎゅ~~~っ」

「ふみゃみゃ~~~っ!」

 

 そうしていた時。

 

「あなたたち何をしているのっ!!」

 辺りに厳しい声が響いた。

「うわっ、いいんちょーだっ」

 顔をあげると、真っ赤になった二木風紀委員長が、肩を震わせてわたくしたちを見据えていた。

「あ、あなたたち……」

「しっ、しっ、芝生の上で百合百合しないっ!! わかった!?」

――それだけいうと、二木風紀委員長は走っていてしまった。

 

「……なんなんですの?」

「また百合って言われたぞ? ……そういえばくるがやが言うには、いいんちょーも百合だそーだ」

「……百合、百合……あら? この本に書いてあるのは薔薇でしたわね」

「……」

「……」

「けっきょく百合ってなんだ、ささみ?」

「さあ…?」