「ねえ、直枝さん」
「どうしたの、佐々美さ――うあ…行儀悪いよ」
「いいじゃないですの、どうせ二人っきりですし」
僕の部屋で、僕は床に腰を下ろして本を読んでいた。
佐々美さんはというと、うつ伏せになって僕を見つめている。
瞳が熱を帯びている気がする…気のせいかな。
「わたくし、暇ですの」
「ごめんね、もう少しで読み終わるからさ」
「……」
じーーー。
し、視線が気になるっ。
「……」
それでも僕が本を読んでいると。
「ねえ」
――くりくりくり。
「うわっ!?」
佐々美さんが僕のヒザを指でクリクリと遊び始めた。
声もどこか鼻にかかった甘い色を帯びてきている。
「わたくしたち二人だけですのよ?」
「そ、そうだね」
――くりくりくり、つつつ~~~。
「うわわっ、さ、佐々美さんっくすぐらないでよっ」
それでも佐々美さんは僕のヒザに指を立ててなぞったりして遊んでいる!
顔つきなんて僕の反応を楽しむかのような顔だ!
「わたくしたちは今、二人だけ、ですのよ? わかってるんですの? うりうり」
「さ、佐々美さんっ、く、くすぐったいってば~っ」