シチュ:鈴は、実はお兄ちゃんが大好きだったw
――今は、女の子たちだけでお菓子パーティの真っ最中なのです。
「こまりんこまりん、チロルチョコのキナコもらっていい?」
「どーぞ」
「わふっ! それは私も目をつけていたのにーっ」
「フフフ、世の中弱肉強食なのですヨ」
「だいじょーぶクーちゃん、もう一個持ってきてるからー」
「さんきゅーべりーまっち、なのですーっ」
「……わたしはチータラを頂きますね」
「はいはい~」
「カラムーチョをもらうとしよう」
「わたくし、クッキーを焼いてきましたわ」
「へークッキーね、それ頂こうかしら?」
たまには女の子たちだけというのも悪くないかもしれません。
「~♪」
「ありゃ、なんか鈴ちゃん…さっきから嬉しそうだね」
はるちゃんの言う通り、さっきからりんちゃんはニコニコ幸せさん顔。
「なにか良いことがあったのですか?」
「よくぞ、聞いてくれたな」
「……聞いてくれと言わんばかりの顔をしてます」
「ならば仕方ない、教えてやろう」
腰に手を当ててえっへんとするりんちゃん。
「実はな……」
「今日の夢にきょーすけが出てきた」
「そして、きょーすけがあたしに……」
「チューしてきたんだっ」
「「「「「…………」」」」」
「あれはヤバかった、実にヤバかった」
「思い出しただけでドキドキするな」
鈴ちゃんはとってもうれしそう。
「また鈴ちゃんの恭介くん自慢が始まりましたネ」
「ふむ、恭介氏がいる前では絶対に言わないのにな」
「いつも女史の前では言うな…正直、恭介氏にジェラシーだよ」
「きょーすけは最高の兄貴だからじょーがない」
「兄に欲情するなんて気色悪い奴ですわね…」
「ふかーっ!!」
「好きなんだからしょーがないだろっ」
「……恭介さんのような方がお兄さんでしたらそうなってしまうのも当然かもしれませんね」
「確かにそうね、他の男子なんてジャガイモ程度にしか見えないんじゃない?」
「それは言えてるな」
「では、鈴さんにとって井ノ原さんはどう見えますかっ?」
「クズ」
「わわ…それは言いすぎだよりんちゃん」
「宮沢様はどうですの?」
「馬鹿だな」
「じゃあ、理樹君はどう?」
「理樹か……」
腕組をしてうーんと唸る。
「難しいところだが…」
「きょーすけのほうが一歩リードだな」
「理樹にはまだオトナのミリョクが足りてない」
「その点、きょーすけは完璧だ」
「朝とか電話で起こしてくれるしな」
「わふー…まるで彼氏のようなのですー」
「かれ…なにぃ!?」
「それは、まさかきょーすけもあたしに気があるってことかっ!?」
「それはどうかと思うよ?」
「きょーすけとそーしそうあいになってしまった! あ、あたしはいったいどーすればいいんだっ!?」
わ…りんちゃん聞いてないっ。
「どーもしなくていいと思いますわよ……」
「け、結婚してもいいのかっ!?」
「ダメに決まっているでしょう…」
「なら、まずは文通からだな」
「ずいぶんと基礎まで帰ったな…」
「よし今からきょーすけにお手紙を…」
その時でした。
――バタン。
「なんだ、全員ここにいたのか」
恭介さんが入ってきたんですが…。
「鈴、手紙がどうとか言ってたようだが」
「ふかーーーーーーっ!!」
――ドゲシィィィーッ!!!
「ぎゃはぁぁぁぁぁぁーーーっ!?」
りんちゃんのキックが恭介さんに炸裂。
「ちょ、ちょっと待て、お、俺なにもしてないだろっ!?」
「問答無用っ!」
――ドグッ!
「んぎゃぁぁぁーーーっ!!」
「しねっ!」
「ひぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁ…………――――」
「りんちゃん、いつも恭介さんの前だとこうなっちゃうよね…」
「私たちの前では正直な気持ちをお話してくださるのに…」
「……きっと可愛さ余ってなんとやら、というヤツではないでしょうか?」
「ああ、好きな人にはイジワルをしちゃう原理ね」
「難儀な性格だな、鈴君も」