#シチュ:またみんなで集まって理樹のパンツの神秘に迫ろうとしているようです。
――ぽっ。
真っ暗な家庭部部室にランタンの光が灯った。
うみゅみゅ…。
なんか暗くて、すごい悪巧みしているような気分だな。
「さて、今日理樹に内緒でおまえらに集まってもらったのは他でもない」
「はい恭介さん、質問がありますっ」
「なんだ小毬、言ってみろ」
「なんで明かりをつけないでランタンだけ?」
「そのほうが気分的に盛り上がるだろ?」
「あははは盛り上がりますヨ、悪巧みしてるーって感じで」
はるかは楽しきゃなんでも良さそうな気がする。
「して恭介氏、新しい策でもあるのか?」
「ああ。そのためにおまえらを集めたんだからな」
そう言いながら、きょーすけが胸元から一通の手紙を出してテーブルの真ん中に置いた。
「なんなんだ、これは?」
手に取ったのはけんごだ。
その横にいるみおも不思議そうに覗き込んでいる。
「……後ろにハート型のシールですか」
「ま、つまりはそういうことだ」
「ちっともわかんねぇんだけどよ…」
ばか真人の言う通りだな。
いったいコイツは何を考えてるんだかわけわからん。
「さすがに理樹に直接パンツのことを聞くのははばかられるからな」
前は直接聞いて失敗したからな、コイツ。
「今回はその気持ちをこの手紙にしたためて来た」
「つまりは恋文というやつですかっ!?」
「能美のは少しニュアンスが違うが…ま、言いにくいことを手紙にしたということでは同じ意味だな」
ガサガサときょーすけが手紙を開けた。
「内容はこうだ」
『直枝理樹くん江
突然こんな手紙を出してしまってごめんなさい。
いつからだったかな。
直枝くんを見かけるたびに目の端で追っている私がいます。
いつもみんなと一緒にいる直枝くん。
いつも楽しそうに笑っている直枝くん。
そして……いつも見かけるたびにこう思っていました。
直枝くんのパンツ何かな、って。
よかったら教えてください。
』
「いいわけあるかーっ!!」
「鈴ちゃんナイスツッコミっ」
「……突然こんな手紙を出してしまって本当に申し訳ない気持ちで一杯です」
「そうか?」
相変わらずきょーすけはとぼけた顔だ。
「う、うーん、理樹君もいきなりこんな手紙を受け取ったらビックリすると思うよ」
「つーかよ、こんなん返事もらえるわけねぇだろ」
「安心しろ。その辺は抜かりはない」
きょーすけがさらに手紙から何か出した。
「返信用封筒を同封してある。もちろん切手も添付済みだ。手間が少ない分返しやすいだろ?」
「わふーっ、さすが恭介さんなのですーっ!」
「うん~、それなら手紙買いにいく必要もないし、返しやすいね」
クドもこまりちゃんも大絶賛だ!
二人にそういわれると、きょーすけがすごいように思えてきたぞっ。
「さらにだ。ここを見てくれ」
指差された返信用手紙の下を見ると、なんか書いてあった。
□.ブリーフ
□.トランクス
□.ボクサーパンツ
「あらかじめ選択式にしておいた」
うみゃ!
コイツ、準備万端だなっ!
「さすが恭介氏、これならばチェックを入れるだけで気軽にこたえることが出来るな」
「ああ、その通りだ。後は――」
きょーすけが胸元からペンを取り出した。
「この他にも理樹が履いてそうなパンツの候補はあるか? あったら付け加えてくれ」
「それならブーメランパンツを付け足すぜっ!」
「井ノ原さんズルイのですっ! リキでしたら意外と大人風味溢れるTばーっくかもしれませんっ」
「プーさんぱんつも付け加えておこー」
「あはははは、葉っぱ、葉っぱーっ」
「……三枝さん、直枝さんは原住民じゃありません。ここはガーターベルトを加えておきましょう」
「理樹をなめているのか? 理樹ならば赤フンさえ履きこなすぞ!」
「待て。そもそも理樹君は履いているのか…?」
ランタンに照らされた家庭科部部室はいつも通りくちゃくちゃの大騒ぎだった。
――数日後。
「理樹から返信が届いたぞ!」
「マジかよっ!?」
「恭介氏、早く明けて見せろ」
「楽しみですーっ」
「楽しみだねー」
「待て待て、そう焦るな……よし開いたぞ」
そこには。
□……
□……
□.ガーターベルト
□.ノーパン
■.いやいやいや!?
「新しい項目が加わってますっ!?」
「さすが理樹だな……ちゃめっ気たっぷりだぜ…」
うーみゅ。
理樹からぱんつのことを聞きだすのは無理な気がする…。
そうして夜は更けていった…。