#シチュ:ルームメイトの佐々美と小毬。けど二人はただのルームメイトじゃなくて…。
――窓から差し込む朝日でゆっくりと意識が覚醒する。
「……ん…んぅ」
今日もいい天気ですわ。
腕に絡んでいるもう一つの手をどけて、布団から出る。
「神北さん、朝ですわよ」
「……すぅ~……」
まったく、悩み事ひとつなさそうな寝顔ですわね…。
そんな起きない神北さんを放っておいて、ドレッサーに向かい髪の毛をブローを始めた。
――もそもそ、もそもそ
ベッドでもそもそと動く音。
「神北さん、ようやく起きましたわね」
ベッドの方を向くと。
「…ん~」
「…」
神北さんが毛布から顔を出し、目を閉じて口を突き出している。
「…ん~」
「…」
「…ん~、ん~」
「なんですの?」
「おはようのちゅ~は?」
「……」
「さーちゃん、ちゅ~」
んーんー口を突き出しながら待っている神北さん。
「んん~…」
はあ…。
「だーめ、ほら、早く行かないと棗さんたちとの朝ご飯に間に合わなくなりますわよ?」
「うあーん、おはようのちゅ~してくれなきゃ起きれない~」
ジタバタと駄々をこね始める神北さん。
――じたばたじたばた…………ちらっ
「うあーん」
――じたばたじたばた。
わたくしの反応を見ながらジタバタしているのがバレバレ。
…ホント神北さんは甘えんぼさんで困りものですわ。
たまには厳しくしないとダメですわね…
「駄々こねてないで、早く起きなさい」
「ぷーっ、さーちゃんのいぢわるー」
「起きて準備なさいな」
「いいもん、今日学校いかないもん。さーちゃんちゅ~してくれないから学校行かないもん」
ごそごそと壁際を向いて毛布に包まる。
こんなときは…。
「いいもん、ホントに今日は行かないもんっだ」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「うわーーーんっ、さーちゃん~っ」
寂しがり屋さんなのはもう十分把握してますわよ。
「…わがまま言っちゃってごめんね」
お布団に包まって、しかられた子犬のようにシュンとしている。
「……もう……」
「仕方ないですわね」
こんな顔されちゃうと……ねえ?
わたくしの負けですわ。
近づくと、パーッと明るくなる神北さんの顔。
――ちゅっ
「……」
「……」
「えへへっ」
「あ、ちょっと神北さんっ、首に手を回さな……きゃっ!?」
――どすーんっ
「もうちょっとだけ一緒にいよ?」
「……」
「また髪の毛をブローしなきゃならないじゃないの……」