#シチュ:こまりんの寝癖が直らない!
「うわぁぁぁん、さーちゃん~」
朝のシャワーから上がってくると、神北さんがわたくしに泣きついてきた。
「なんですの、朝っぱらから騒々しいですわね」
「うわぁーん、だってね、だってね」
「髪を乾かしたいけど、もうブローは終わりましたの?」
「それなんだよ~」
「?」
「見てよ、これ」
神北さんが髪に手を当てて、その手を離すと…。
ぴよん。
一束だけ髪の毛が外側に跳ねた。
「あら…」
「寝グセが直らなくて大変なんだよ~っ」
「ちょっとよろしいかしら?」
「うん」
寝ぐせに軽く指を通し、周りの髪に馴染ませる。
「これでどうかし…」
ぴよん。
「なおった?」
「な、なかなか強情ですわね…」
「うわぁーん、これじゃ学校いけないーっ」
「わかりましたわ、そこにお掛けなさい」
神北さんをドレッサーの前に座らせる。
まずは、と。
ブラッシングでどうかしら?
「……」
「……」
ぴよん。
「う、うわぁぁぁんっ」
「やりますわね…。次の手段いきますわよ」
タオルを濡らし、30秒ほどレンジで温める。
「さーちゃん、それどうするの?」
「寝癖には蒸しタオルですわ」
「へぇ、そうなんだ」
蒸しタオルを寝癖箇所に当てる。
「なんかホカホカして、直ってきてる気がするよ~」
「じゃあタオル外しますわね」
ぴよん。
「……」
「……」
すっすっすっ、ホカホカホカ。
ぴょこん。
「う、うわぁぁぁーんっ! もうお嫁もらえないよーっ」
「こ、こうなったら最終手段ですわ……」
「どうするの?」
「切り落としますわ……フフ、フフフフフ……」
「ふえぇーっ、切っちゃだめーっ」
「ならこうする他ないですわね……」
…………。
……。
キーンコーンカーンコーン。
「うわっ、こまりちゃん髪型変えたのかっ!?」
「わふー…小毬さんがあぐれっしぶな雰囲気に変わっています!?」
「……イメチェンですか?」
「あの…これはね――」
「ほう、オール外ハネの小毬君も新鮮だな」
「うあぁーん、好きでこんな髪型にしたんじゃないーっ」