シチュエーション:真人が甘えんぼになった!
――真人と二人で夕暮れの廊下を歩いている。
辺りに人影はない。
「理樹」
「どうしたの真人?」
「ちと…言い出しずらいんだが」
よくわからないが真人がドモっている。
「僕と真人の仲でしょ。何でも言ってよ」
「さすが理樹だぜっ!」
「で、どうしたの?」
「オレをおんぶしてくれっ!」
…一瞬理解が遅れる。
「え、え、えええええええーーーーっ!?」
「な? 誰もいないし、ちょっとぐらいいいだろっ?」
「いやいやっ、無理だからっ」
突然何を言い出すのさっ!
「甘えたい年頃なんだよっ」
「って、もういい歳でしょっ」
「……理樹のいぢわる…グスッ」
「ええええええええーーーっ!?」
あの真人が女の子チックにグズっているっ!!
「…えぐえぐ…グズッ」
こ、怖いっ!!
あまりの恐怖におんぶしなきゃならないような気がする!
「わ、わかったから…ほら、背中に乗って」
「さすが理樹だぜ、理樹はホントお人よしだなっ」
コロっと笑顔になる真人。
…もう何も言うまい。
「じゃあ、乗るぞ」
「う、うん」
――ズシーーーッ!
「う…わ…」
お、重いっ! 想像以上に重いっ!
「理樹、中庭に行こうぜっ」
「な、中庭ーっ!?」
真人を背負ったまま歩き出す。
――ズシッ、ズシッ、ズシッ
「小さい頃はよ、オレが理樹をおんぶして歩いたっけかな」
「はふーっ、はふーっ」
――ズシッ、ズシッ、ズシッ
「あの頃が懐かしいぜ」
「…ぜぇ、ぜぇ…」
――ズシッ、ズシッ、ズシッ
「まさか逆転するとは思わなかったぜ…」
僕も思わなかった。
――カクカクカクカクカクカクカクッ
「なあ、理樹、ヒザがカクカクしてんだけどよ」
「…そ、そりゃあ…」
もうヒザが全力で笑っている。
そりゃあ、真人を背負えば誰だってこうなる!
「やべぇ、理樹とこうしていられるなんて幸せすぎて死にそうだぜっ」
後ろで興奮気味の真人。
「ぜぇーっ…ぜぇーっ…」
僕も別な意味で死にそうだ!
「も、もうダメ……」
――ベチャッ!
「うぉ!? 理樹!? どうしたんだ理樹!? 理樹ぃぃーーーっ!」
マッチョな親友を背中に抱えながら、意識が遠退いていった。
真人が甘えん坊と化した場合きっとこうなります。
アレです。
ライオンが人間に甘えたときのようなカンジだと思います。
華奢な理樹にマッチョ真人が甘えた日には…!!
無理やりは良くありません。美しくありません(爆