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アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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185.叶課長にうまるが嫉妬しているようです【干物妹!うまるちゃん】

 

185.叶課長にうまるが嫉妬しているようです【干物妹!うまるちゃん】


※シチュ。
叶課長とタイヘイがレストランの市場調査に行くのを目撃したうまる。
どうやら嫉妬しているようです。

 

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8月某日。会社にて。
デスクワークをしているタイヘイの横に女性がぬるぅと寄ってきた。
「タ・イ・ヘ・イ」
「叶課長」
デスクに山積みになっている書類を調度良いと言わんばかりに肘を置いて、タイヘイのことをしっとりした瞳で見つめているのは叶課長だ。
タイヘイの上司であり、学生時代からの友達だったりする。
「若者向けのスイーツカフェにウチのシステムを導入してもらおうというプロジェクトが進行してるの」
「へぇ、そうなんですね」
「で。市場調査に行くの」
「へぇ」
叶課長がぬるぅとタイヘイに顔を寄せた。
「――市場調査にいくの。私。今から」
「へ、へぇ」
「――カフェに一人っていうのもねぇ」
「あ、あの、課長の髪が僕の肩にかかってるんですけど……」
「いい感じじゃない? シャンプー変えたの。――タイヘイついてきてくれないかしら?」
「いやけど、仕事が山積み……」
「そんなの横のボンバーに任せればいいじゃない」
サブマリン式で椅子に座っていたボンバーヘッド――本場に矛先が向いた。
「…………へ? え? はぁぁぁぁっっっ!?」
驚愕のあまりサブマリン姿勢のまま椅子から滑り落ちていた。
「ちょちょちょちょ、ちょっっと待てぇ!」
「決定ね。タイヘイ、10分後に一階フロア待ち合わせ。ヨロシク」
「叶課長! 市場調査って言われても――行っちゃったな……」
「行っちゃった、じゃねぇよぉぉぉ! うぉぉぉんっ」
「……すまないな……」
いい年して泣きじゃくるボンバに、タイヘイは無言で肩をたたいた。


***


「手持ちのゲームはクリアしちゃったし、今日もゲーセンに行こうっと」
やっぱり夏休みは最高だよね。
「お兄ちゃんは今頃仕事で忙しくしてそうだなー。シルフィは今日いるかな?」
外用の帽子を被り、私――うまる――は外へと足を向けた。


外は朝10時にもかかわらず灼熱だった。
「……あづい……」
は、早くゲーセンにたどり着かないと焼け死んじゃうかも……。
暑さにげんなりしながら正面の人混みを見ていると見知った後ろ姿が見えた。
あれはお兄ちゃん!
この灼熱地獄の中で外とは可哀想に。
にしし…よぅし、うまるが癒してあげよう。
いたずらしようとこっそり近づこうとした時だった。

「――もう少しよ、タイヘイ。あそこね」

………………え?
お兄ちゃんの横に……女の人?

綺麗な女の人が、お兄ちゃんの横、すぐ横、くっつきそうなほどの横を歩いていた。

「へぇ、オシャレなカフェですね」

カフェ?
女の人が指差す方向にはこの間できたばっかりのカフェがあった。
そういえば海老名ちゃんが言ってたっけ……。
『ゲームセンターあるよね? そこの近くにファミーユっていうカフェができたんだよ。恋人同士に人気の店なんだって。私も、私もひゃううううっ』

「ほらタイヘイ、行こ」
「コラ、手を取るな叶! じゃなくて課長っ」
「いいからいいから、早く」

え……?
お兄ちゃんが呼び捨て……。
……え……これ、なに……?
手までつないでる……。
うそ……まるで恋人同士……。
恋人同士……?

――夏の喧騒が消えた。
――何も聞こえなくなっていた。


喧騒が戻った時、お兄ちゃんは視界から消えていた。
私はそのまま家に足を向けた。
ゲーセンになんて行く気が起きなかった。
この心のモヤモヤ……。
いやだな、なんだろう……。
「……ゲームをやればこんなモヤモヤ消えるよねっ」

家に帰ってクリア済みのゲームをプレイしたけど、
「……うー……」
心のモヤモヤは消えなかった。
「こ、こんなときはコーラとポテイトーっ……」
コーラを飲み過ぎてお腹がタプタプだった。


***


「ただいま~。――な、なんだ!? 散らかしすぎだろ、うまるっ!」
「う~、お兄ちゃん」
「夏休みだからってダラダラしてないで片付けをだな――ん、うまる? 具合悪いのか?」
「へ!? あ、いや……えと……」
「どうした?」
「お兄ちゃんさ……」
「?」
「……な、なんでもないっ」
「夕飯作るから、テーブルの上、片付けておけよ」
「う、うん」

……恋人いるの?
その一言が聞けない。
だってもしいるって言われたら……うまる……どうすれば……。


***


「じゃ、おやすみー」
「お兄ちゃん、おやすみ…」

真っ暗な天井。
頭の中をグルグル回るのは朝の光景ばかり。
お兄ちゃんに恋人がいたらどうしよう……。
けど、お兄ちゃんにまだ恋人なんて……。
恋人なんて……。
…………。
……。
――タ・イ・ヘ・イ。一緒に暮らそ?
――うまる、ごめんな。お兄ちゃん恋人できちゃったんだ
――え、そしたらうまるは……。
――この女の人のところで暮らすことにしたから、うまるは今日から一人で暮らしてくれ。
――タイヘイ、コーラ買ってきて、私のために。
――困ったヤツだなぁ。
――お、お兄ちゃん、う、うまるにもっ
――お兄ちゃん忙しいんだ。うまるは自分で行ってきてくれ。
――タイヘイ、ポテイト。あーんして? あーん、あーん。
――雛鳥か! 仕方ないなぁ。あー……

「うにゃゃぁぁぁーっ!!」
「うわっ!? う、うまるどうしたんだよ!?」
「ハァ、ハァ…な、なんでもない」
「怖い夢でも見たのか? 早く寝ないと生活リズムが崩れるからダメだぞ……」
「う、うん」

うまる、どうしたら……。
そういえば前に見たアニメ……。
恋人のフリをして諦めさせる、って内容だっけ。
…………。
む……。
あの時は「なにそのパターン!」って思ったけど……。
…………。
……。
それいいかも!
コレしかないかもっ!!


***


「――今日は来るかな」
朝から例のカフェの近くで張っていた。
お洋服は持っている中で一番のを着てきた。
帽子はいつものハンチングハットじゃなくて麦わら帽子。
どこからどう見てもデートの待ち合わせをしている女の子風だ。
周りの視線がなんか刺さるけど、そんなことよりお兄ちゃんだ!

待つこと15分。

「きた!」
お兄ちゃんと、またあの女の人だ。

「また同じカフェに行くんですか?」
「もう少し見てみないとアプローチ材料が少ないじゃない。タイヘイ、今日は何食べたい?」

むー…。
お兄ちゃんのこと呼び捨てにしてるし!

「なら今日はフルーツタルトでしょうか」

だんだんと距離が近づいてきた。
あと5m。
あと4m
あと3m。

「私はショートケーキにしようかしら。昨日はパフェだったし」

あと2m。
あと1m。
よし!
意を決して飛び出した。

「――タイヘイくん、おそいよっ」
お兄ちゃんの腕に両腕でしっかり抱きついた。
私の顔を見るなり目をまんまるにしていた。
「なっ、なななななな!? う、うま…」
にっしし。
女の人の方を見ると……。

「――――――…………」
ぼーぜんだった。

「………………(パクパクパク)………………」
口をパクパクしている。

「………………~~~~~~~~~」
む~~~~っと膨れ始めた!

「タイヘイくん、今日は私とデートの予定でしょう?」
「うっ、うまる!! おまっ…」
人差し指でお兄ちゃんの口を塞ぐ。
「んぐっ!?」
「遅れたことは許してあげる。カフェいこ?」
「ちょちょちょちょっとっ!!」
女の人がうまるにびしーっと指を向けてきた。
「なんですか…?」
何も知らないような雰囲気で首をかしげる。
「タイヘイはね、私と、ここのカフェにいくの!」
「…えっ?」
ぎゅぎゅっとお兄ちゃんの腕を抱きしめる腕に力を入れた。
「今日ここのカフェで一緒にお昼しよ、ってタイヘイくんと約束してたんです」
「なにそれ、い、いつよ!?」
「昨日タイヘイくんが夜ご飯を『私のために』作ってくれた時にです。良いカフェ見つけたって」
ふふーん。
作ってくれたってウソじゃないもんね。
「よっ、夜ご飯……!? つつつつつつつつつつ作ってくれた……!?」
驚愕の表情でお兄ちゃんを見つめていた!
「いやっ、叶、そっ、それはだなっ」
ここらでとっておきのダメ押しというやつ!
「タイヘイくんって料理が上手なんだ。『毎日』美味しいご飯つくってくれてありがとね」
「ンマッ、ンマッ、まいにっちっ!?!? あわ、あわわわわわ……」
「ちがっ…だから叶っ、ってなぁ……」
お兄ちゃんがわなわなと震えだした。
なんか……。
髪が逆だってきている気がするんだけど……。
「う…う…う…」
「タ、タイヘイくん……?」
「うまるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっ!!!!!」


***


「――…………え?」
カフェの一角。
「だからな。こちらの方は叶課長。僕の上司だ。カフェには調査できていただけだ」
お兄ちゃんが向かいにいる叶さんに頭を下げた。
「叶課長、申し訳ございません!! こいつ、妹のうまるです!!」
「――………ぐすっ……ぅ?」
少し涙目でぽかーんという擬音がぴったりしそうな顔をしている叶さん。
放心状態みたいだ。
「うまる、おまえも謝れ!!」
「ご、ごめんなさい……」
「え……あ……タイヘイの妹…さん?」
「…そうです…」
「おまえな、どうしてこんなことしたんだよ」
「てっきりお兄ちゃんに彼女ができちゃったのかと思って……」
ううう、お兄ちゃんの上司だったなんて…。
恥ずかしくて隠れたいよぅっ!
「…………ふぅん、タイヘイの彼女じゃないのね」
何度もコクコクと頷くお兄ちゃん。
「妹です」
「ホント?」
「はい」
「ホントにホント?」
「ホントにホントです」
「ふぅん…。そうなの。そうなのね」

……ん?
なんかよくわかんないけど。
うまるのシックスセンスがよくないものを感じているッ!

叶さんの目がキュピーンと光った!!
「タイヘイ、ショートケーキのイチゴをあげるわ。はい、あ~~ん」
「なっ!?」
フォークにイチゴを刺してお兄ちゃんにあーんを迫っているっ!?
「叶さんは、な、なにしてるんですかっ!?」
「何ってあ~んよ。妹さんには関係ないでしょ? はい、タイヘイ、あ~~ん、あ~ん」
「ちょっ! 叶っ!」
「むぅうぅうぅ~~~~っ!! お兄ちゃんっ!!」
「な、なんだよ?」
「うまるのモンブランの栗あげるっ!! 栗だよっ! あーんっ!!」
「ちょっ、うまるまで!? やめ、やめろっ! コラ、ほっぺに押し付けるなっ! むぐぐ、か、叶は口にねじ込もうとするなっ、ふ、二人共やめろ~~~っ!!」

 

 

 

 

かなたんでGO!えくすてんしょん 最終回

素っ気無し、愛想なし、配慮なしの佳奈多が送る シュール系ラジオ。2009年にTraffic jamで全13回放送(書いた)。実際にお便り募集を行なっていました

 

再アップのついでにお便りを増量加筆して再度お届けも今回が最終回です!

 

***

 

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こんばんは。

私は風紀委の委員長を務めている二木佳奈多。

それじゃあ、さっそく始めましょうか。

『かなたんでGO!』

 

はぁ……。

今日でこのラジオも最終回ね。

最終回だからといって、これといって特別なことをするわけでもないけど。

別に名残惜しいとか寂しいとかなんて思ってないし。

仕事が一つ終わってせいせいしただけ。

思い返すとこの13回、意外と短かった気がするわね。

あーちゃん先輩がどこかのラジオに影響を受けて、このラジオ企画をしたのが10月。

あーちゃん先輩が企画したのにパーソナリティが私なんて不条理よ。

曰く「キャラがいいから」って。

無愛想だし素っ気無いだけの私を選ぶあーちゃん先輩の気が知れないわ。

こんな私なんかのラジオを訊いて、視聴者も面白いのかしら?

はぁ……。

それ以来、この4ヶ月はそれはもう苦労の連続。

水曜日になると、その日話すことを考えて授業は上の空。

それに寮長室にまで相談に来る生徒が増えたわ…。

あーちゃん先輩なんて「かなちゃん、ひと商売できそうじゃない?」って…もう。

授業中にお便りを書いていて没収された生徒――神北さんだけど――の尻拭いさせられたこともあったわね…。

リトルバスターズの面々なんて、放送の次の日にはわざわざラジオの感想を言いに来るのよ?

机の周りに集まられると息苦しいのよ。

それなのに葉留佳もクドリャフカも来ヶ谷さんも西園さんも神北さんもあれやこれや言いまくり。

棗先輩なんて窓から飛び込んでくるなり、拍手総計とコメントしてくるし。

妹さんの方は宮沢に「昨日のアレはどーいう意味だっ」って飛び蹴りよ、飛び蹴り。

井ノ原なんて毎回毎回「てめぇ、オレになんか恨みでもあんのかーっ」って。

髪をむしる井ノ原とそれを必死に止める直枝なんてクラス名物にまでなってたのよ……人のクラスなのに。

私たちの教室で大騒ぎするのだけはやめて欲しかったわ。

はぁ、本当に……。

……。

……なんでもない。

長くなってしまったわね。

それじゃあ、フツオタ(普通のお便り)でも紹介しようかしら?

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『ラジオがとても面白かったです!』

 

私はただいつも通り話しているだけなのに面白いのかしら?

けど嬉しいわね、こういうことを言われると。

今日で終わりだけど、最後まで聞いてくれると嬉しいわ。

次。

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『ちょwww 牛乳吹いたwww』

 

牛乳を飲みながらラジオを聞くほうが悪いわ。

次。

ラジオネーム・あーちゃん先輩(本人)さんから頂きました……って。

 

『かーなーちゃ~~~んっ!! 今日でラジオからかなちゃんの声が聞えてくるのもお終いなのね(泣) あーちゃん寂しい(しくしく) 全13回、本当にお疲れ様! 毎週毎週、楽しくて楽しくて良かったわよ? ラジオだけじゃなく、かなちゃんが「あの、あーちゃん先輩、○○って何のことでしょうか?」とか一生懸命取り組んでくれてるところなんてね。最初はイヤイヤだったのに週を重ねるごとに活き活きしていくのは見ていて嬉しかったわよ(笑) じゃあ、今日で最後だけど、最後の最後までしっかりがんばること! それが終わったら、今度私と一緒にお出かけしましょ(笑) なんでもおごっちゃうわよ~!』

 

あーちゃん先輩……。

……。

はい。

最後の最後までしっかりとやり抜くなんて当たり前です!

お出かけしたときは覚悟しておいてください。

色々ありますから、欲しい物。

 

 

いつものコーナーに行くわ。

『かなちゃんのらぶり~アドバイス』

リスナーの悩みを大募集。

それをこの私、二木佳奈多が解決するコーナーよ。

このコーナーも今日で終わり、か…。

なんでもない。

それにしても最後だけあって今回はお便りが多いわね。

では、さっそく1枚目。

ラジオネーム・相川君さんより頂きました。ありがと。

 

『佳奈多さん、こんにちわ!』 こんにちは。

『以前、優しい方々のおかげで大好きなS・Sさんと仲良くなってからというもの、幸せに継ぐ幸せです。以前は5回に1度メールが返ってきたのですが、今では必ず宛先不明のメールが返ってきます。ツンツンして気を惹こうとしているS・Sさんに萌え! そろそろ大イベントのフラグが立ってるはずなのですが、イベント発生条件がわかりません。どうしたらいいでしょうか?』

 

もうやめなさい、あなたの好感度はゼロよ。

次。

ラジオネーム・銃さんから頂きました。ありがと。

銃さんは2回目から毎回投稿してくれてるわね。

……その、嬉しいわ。

じゃあ、コホン。

 

『佳奈多さん、部活で四月に情報処理の国家試験を受けることになりました。どうしたらいいでしょう?』

 

勉強すればいいじゃない。

と、最後だしもう少し。

資格試験は合格するかしないか。ようは1か0の世界。受からなければ意味を成さない。

一番大切なのは過去問よ。よく研究すること。

ほとんどの資格試験の合格ラインは60%だということを覚えておくといいわ。受験みたいに落とすための試験ではないことも。

情報系に詳しい人が知り合いから訊いたけど、どうやら春から新制度に移行してしまうようね。

応援してる。がんばりなさい。

次。

 

ラジオネーム・春田さんから頂きました。ありがと。

 

『佳奈多は俺のだからごめんな>arl』

 

arlじゃなくてall。

弱いわ、頭。

次。

ラジオネーム・ナイトレイさんより頂きました。ありがと。

 

『前回の呼び名のことです。佳奈多様ではだめだと思います! かなたん様にしましょう!』

 

い、嫌よ。

それじゃあ、カッコいいのかカッコ悪いのかわからないじゃない。

次。

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『佳奈多、愛してる!結婚してくれ!』

 

却下。

次。

ラジオネーム・ねこねこにゃんにゃんさんから頂きました。ありがと。

 

『学校に黒ネコがいるんだが、なかなかあたしに懐いてくれない。理樹にばっかり懐くんだ。なんかプレゼントで気を引きたいんだが、いいのないか?』

 

どうでもいいわね。

にぼしでいいんじゃない?

次。

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『かなたん、かなたん』 ……なに。

『かなたんの好きなものって何?』

 

に・ぼ・し。

次。

ラジオネーム・ささっこちゃんさんから頂きました。ありがと。

 

『むっきーっ! 初回であなたがわたくしに変な名前を付けるからテンテコ舞でしたわっ! 今日で最後なんですし、今度こそは噛まれないで、かつ、わたくしに似合ういいニックネームをつけてくださらないかしら?』

 

にぼし。

次。

ラジ――

理:佳奈多さん、ちょっとそれは可哀想だよ。

佳:な、なお、なお、直枝っ!?

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※直枝さんの写真が女そ――ゲフンゲフン、よい写真がなかったので夏に撮った写真で代用(スタッフより)

 

(以下、理樹:理、佳奈多:佳)

理:あははは…今日のゲストだったんだけど、女子寮の寮長さんから用事頼まれちゃって。

佳:え…いや…なんで…エェェェ!?

理:あれ、寮長さんから聞いてなかった?

佳:なるほど…あーちゃん先輩の仕業ね…ハァァァ…。何も聞いてない。

理:そうだ、寮長さんから手紙を預かってきたんだ。

佳:ふぅん、貸して。

 

『最後の最後のサプライズゲストよ。どう、驚いちゃったでしょ? 驚いたかなちゃんの顔が目に浮かぶわ~』

 

佳:あ、あーちゃん先輩っっっ!!

理:いやいやいやっ、僕に掴みかかられてもっ!!

佳:な、なんで最後の最後によりにもよって、な、な、直枝っ!?

理:そんなこと言われてもっ。

佳:あーもうっ!

佳:次よ、次!

佳:ラジオネーム・濫心さんから頂きました。ありがと。

理:ありがと、濫心さん!

 

『かわいい男の娘は、好きですか?』

 

佳:なっ…!?

佳:すすすすすすすすすすすすすす好きなワケないじゃないっ!!

佳:な、ななな何この変なお便り!

佳:つぎつぎ。次のお便りは――

理:あの…佳奈多さん、なんで僕のほう見てるの?

佳:エッ!? あ…――――~~~~~~~~っっっ!

佳:べべべべ別に直枝を、み、み、見てなんかいないっ!!

佳:ほ、ほんとみてないっ!

佳:あ、あなた、何? 自意識過剰よ、自意識過剰!!

理:え、僕が悪いのっ!? じゃあさ、えっと、聞きづらいんだけどさ。

佳:な、なによ?

理:佳奈多さんの好みのタイプってどんな人なの?

佳:こ、こ、好みのタイプっっっ!?!?

理:いや、そこまで驚かれても困るけど。言いたくないなら話さなくても――

佳:かかかか可愛い男の子なんて、もう全然! 全くちっともこれっぽちもかすりもしないわ!

理:全然僕の話、聞いてないよね…。

佳:そうね、あ、あれね。背が高くて、たくましいのがいいわ、スタンダードにっ!

理:そうなんだ……僕と正反対な人だね……。

佳:あ…え、えっと、けど、な、なななな直枝みたいな――

 

ガタッ、バシャッ!!

 

佳:きゃっ!?

理:うわわわ、水がっ

スタッフ:あー、僕拭いておくんで次おねがいしまーす。時間押してるんで。

佳:つ、次。

理:佳奈多さん、なんか顔が赤――わっ

理:な、なんで小突くのさーっ!?

佳:うるさい。ラジオネーム・松下五段さんから頂きました。ありがと。

 

『算数をやっていると思うのですが、たかし君はお兄さんはどうして一緒に家をでないのですか? どうして15分経ってから自転車で出るのですか?』

 

佳:姉妹…じゃなくて兄弟で同時に何かしないようにする時期は必ずあるわ。

理:佳奈多さんが言うと説得力あるね……。だけど、ちゃんとその後自転車で追いつくんだよね。やっぱり一緒に行きたかったのかな?

佳:こういうのが『ツンデレ』と言うらしいわね。

佳:言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに。非効率すぎ。全く理解できないわ。

理:え…………………………。

佳:なに?

理:い、いやいやいや……なんでもないよ。うん

佳:ふーん…? ま、いいわ、次。

佳:ラジオネーム・高松さんから頂きました。ありがと。

理:ありがとうございますっ!

 

『たかし君とお兄さんはどうしていつも池の周りをまわってるんですか?』

 

理:たかし君のことはそっとしておいてあげようよ…。池の周りを周りたい気分の時だってあると思うんだ……。

佳:この理不尽な行動、ひょっとしたら何かの儀式かもしれないわ。

理:ええっ!?

佳:学校の怪談でよくあるじゃない。トイレで3回まわった後にキックキックトントンとか。

理:そういえばウチの七不思議であったっけ。佳奈多さんもそういうのに興味があるんだね。

佳:な…こ、これは…葉留佳が「やろうやろう」ってうるさかっただけ!

佳:な、なにほっこりした笑顔浮かべてるのよ! つ、次!

佳:ラジオネーム・日向さんから頂きました。ありがと。

 

『たかし君、またスーパーで1個40円のミカンと1個90円のリンゴを合わせて23個くらい買ってんだけど持って帰れるのか? 他人ごとながら心配だ』

 

佳:優しいわね。正直、どうでもいいわ。

理:わ、佳奈多さん正直すぎだよ…。

佳:次。ラジオネーム・岩沢さんから頂きました。ありがと。

 

『たかし君が壁に向かって声を出して、声が返ってくるまでの時間を測ってるんだ。コイツ大丈夫か…?』

 

理:いーやいやいや何そのたかし君推し!?

佳:人生にはモテ期が3回あると聞くわ。その内の1回じゃないかしら、たかし君にとっての。

理:たかし君が可哀想すぎるからっ!!

佳:次。ラジオネーム・わかる人にだけ通じれば良い業界あるあるさんから頂きました。ありがと。

理:業界あるあるさん、ありがとうございますっ!

 

『/* なぜかわからんが動くのでここはいじらないでください。 */』

 

佳:なにこれ?

理:さ、さぁ……?

佳:次ね。ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『テスト終わった後に鉛筆をカーンッ!って力強くおいて終わったアピールする奴いません?』

 

理:いるね……。

佳:いるわね。

佳:このタイプの人にパソコンを触らせると、書類作成が終わったところでエンターキーをッターン!てやるのは検証済みよ。

理:検証したんだ!?

佳:次。ラジオネーム・となりの井ノ原くんさんから頂きました。ありがと。

理:誰だろ、いつも真人のことを見てくれてるよね。

 

『井ノ原くんが黒板の日直を見て「前々から黒板にヒジキって書いてるけど、ありゃどういう意味だ?」と聞いていました。どうしてこの学校に一緒にいるのか不思議でなりません』

 

佳:そうね、井ノ原の合格は学園の七不思議に数えられているわ。彼が合格できた秘密があるのかしら?

理:真人、いつもこんな感じだけど入試の時は筋トレを休んでまで勉強してたからね。

理:あの時は僕たち全員で協力して真人に勉強を教えたんだ。

理:真人が自分から「寝ちまわないようにハチマキに剣山を仕込んでおくぜ!」って言って……ノートを血まみれにしたこともあったっけ……。

佳:努力は認めるけど、やっぱり脳みそ筋肉ね。

理:あは、あはは……。

佳:ラジオネーム・筋肉革命さんから頂きました。ありがと。

理:真――筋肉革命さん、もはや葉書き職人の域まで達してきたね、これ…。

 

『オレのお便りも読んでくれぇぇぇーーーっ!!』

 

佳:読んだわ。

佳:次。

理:えーっ!? ちょっとそれはいくらなんでも可哀想だよっ!

佳:けど、だってこれ。

理:え…? あ、ホントだ。それしか書いてないね……。

佳:次。

佳:あ……これで最後ね……最後。

佳:…………。

佳:ラジオネーム・ytachiさんから頂きました。ありがと。

理:ありがと!

 

『かなたんにとってこのラジオってどう?』

 

佳:……。

佳:……そう…ね。

佳:あーちゃん先輩に押し付けられた仕事…………だった。

佳:最初は面倒くさいだけ、そう思ってた。

佳:けど。

佳:みんなから寄せられるお便り。

佳:頼られるのが……嬉しくなった。

佳:みんなから寄せられるラジオの感想。

佳:読むのが……恥かしくて楽しくて。

佳:そして…。

佳:みんなが喜んでくれたことが、本当に嬉しかった。

佳:無愛想なこんな私なんかでも、みんなを楽しませてあげられるんだって、わかった。

佳:私は…。

佳:私は……。

佳:このラジオをできたことを――誇りに思います。

理:……。

佳:………………。

佳:……………………。

理:佳奈多さん…大丈夫?

佳:…大丈夫。

佳:ふぅ…。

佳:これで最後のお便りは終わり。

佳:ラジオも――

理:佳奈多さん、ちょっと待って。

佳:どうしたの?

理:みんなからこれを預かってきたんだ。

佳:……? なにこれ?

理:ボイスレターだよ。

佳:ボイス…レター?

理:うん。声の手紙。じゃあ、かけさせてもらうね。

 

『――――当にこんなもんで録音できんのか?』

『ふぇぇ~、最近の技術はすごいんだね~』

『たまには馬鹿兄貴も役に立つな』

『ほらほら静かにしろ、もう録音スイッチ押したからな』

『わ、わふーっ!? 私はまだ心の準備が、で、出来てませんーっ』

『いやいや、クド…そこまで緊張しなくて大丈夫だからね』

『ゴソ――二木、聞えるか? 恭介だ。いきなりこんなものを送りつけてすまない』

『恭介氏、こんなものとは酷い言い様だな』

『こいつらがボイスレターを送りたいって聞かないもんでな。まぁ、聞いてやってくれ』

『トップバッター、小毬』

『わ、私~っ? あ、え、こほん。かなちゃん聞えますか~? 小毬ですよ~』

『……神北さん、その出だしはまるで単身赴任のお父さんが子どもに送ったビデオレターのようです』

『そうかな? えと、かなちゃん、毎週とってもとっても楽しかったよ~。私のお便りも読んでくれてありがとー!』

『OK。時間も限られてるからな。ドンドン行くぞ。次、能美』

『わ、私ですかっ!? か、佳奈多さん、いつも一生懸命な佳奈多さんは輝いていましたっ! ラジオをやってから佳奈多さんの笑顔の回数が増えた気がしますっ』

『次、鈴』

『うーみゅ……こ、こーゆーの、慣れない……いいんちょー、いつも面白かったぞ』

『次は私だな』

『二木君、来ヶ谷だ。ラジオをやり始めてからキミは変わったぞ。どうだ、楽しかっただろう? それと私の送ったおっぱいを読んでくれたときは興奮ものだった』

『……それはセクハラにあたるかと』

『……わたしです、西園です。先日はゲストとしてお招き下さりありがとうございます。お陰でわたしもアレはステータスと思えるようになりました』

『次は謙吾だな…おい謙吾』

『……二木……おまえに相談した結果フラれたぞ……』

『恋愛は結局は自分自身の問題だからな。次、真人』

『オレのお便りも読んでくれぇぇぇーーーっ!!』

『おまえ、そればっかだな。じゃあ、俺な』

『二木、おまえのラジオは最高だ。俺の一問一答も危うくおまえのラジオ番組に乗っ取られる勢いだったしな。毎週俺も楽しみだったんだぜ?』

 

佳:み、みんな……。

佳:なっ、なによ。あ、明日学校で言えばいいじゃない…。

佳:わざわざ…こんな演出までして。

佳:……。

 

『――――』

 

佳:これで……終わり?

理:ううん。

 

『――――――――――』

『――――………………』

『どうしたんだ、三枝?』

『あ、やはは……いやぁ、やっぱりいざこういうの前にすると妙に緊張しますナ』

『えーっと…あはは』

『あ、あー。お、お姉ちゃん? その…お姉ちゃんのラジオ、毎週聞き逃さないで聞いたよ?』

『毎週毎週、ずっとお姉ちゃん、がんばってたもんね』

『雨の日も、寒い日も、パーティーがあった日も』

『いつもお姉ちゃん、ラジオがメンドイーとか行きたくないーって言ってたけど、本当はこのラジオが大好きだったんだよね』

『お便りとか応援メッセージ読んでたときのお姉ちゃんの顔、すっごい嬉しそうだったよ』

『その気持ち、きっと聴いてる人にも伝わってたと思う』

『お姉ちゃん』

『とっても、楽しかったよ』

 

プツッ。

 

佳:…………。

理:…………。

佳:………もう……は、話しづらく…なっちゃうじゃない。

佳:…………。

佳:葉留佳……もう……。

佳:……そうね。

佳:楽しかった。

佳:ううん。そんなのじゃ伝えられない。とってもとっても、とっても楽しかった。

佳:……。

 

じゃあ、最後の挨拶…になってしまうわね。

ラジオ『かなたんでGO!』、今日まで聴いてくれて本当にありがとうございます。

みなさんからのお便り、メッセージ……とても嬉しかった。

私なんかが応援してもらえるなんて……思ってもいなかった…。

思い返すと、込み上げてくるものが……あるわね……。

……。

ちょっと…声が詰まっちゃっ……んんっ。

あーちゃん先輩と約束したし、最後まできちんと話さなきゃいけないわ…ね。

今日で、このラジオはお終い。

本当に、今まで――ありがとう。

 

 

 

 

……時間が来てしまったわ。

最後は、この曲でお別れしましょう。

 

Ritaさんで『Alicemagic』

 

 

 

 

 

(スタッフ:佳奈多さん、お客さんが見えられてますので通しますよ)

「お客さん…? って、あなたたち…」

 

「やはは、来ちゃった」

「かなちゃ~ん、そこで聴いてたけど、もう、すんごい、すんごい良かったよ~っ」

「わた、私、な、涙がでてしまったのです~~~……ぐずっ…ぐすぐす」

「……二木さん、泣いていたりはしませんか?」

「あっ……な、な、泣いてなんかないわよ」

「悪い、二木。ボイスレターまで送っておいてあれだが…みんなで来ちまった」

「ほら、葉留佳君、佳奈多君に渡すものがあるだろう?」

「あ、う、うん」

「?」

「え、えーっとね、お姉ちゃん……こ、これ受け取って!」

「これって……花束じゃない!」

「うん、みんなで500円ずつ出し合って買ったんだ」

「い、いいの……?」

「当たり前だよ、お姉ちゃんのために買ったんだもん」

「じゃあ、みんないい? いっせーのーでっ」

 

 

         今まで――本当にお疲れさまでしたっ!!  

 

 

「……ありがとう、みんな……――」

「やはは……やっぱり、こーゆーのって照れますネ…って、お姉ちゃん!?」

「……ぐすっ……ぐすっ……うっ…うぁぅ……」

「うっ、ぅぁ…ぐずっ……う」

「お、お姉ちゃん、な、泣いてるっ!?」

「だって……ぐすっ……だって……うぅ……すっごく、うれ…ぐすっ…うれし、かったんだもんっ…」

 

「本当に――ありがとう」

 

 

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~ FIN ~