読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

Traffic Jam Products

139.わかりやすい性格

リトルバスターズ! NL

#シチュ:理樹が寮長室で宿題をしていました。

 

 

 放課後。

 僕はいつも通り寮長室へと入っていった。

「あれ?」

 今日はまだ誰も来てないみたいだ。

 いつも書類整理などに使っている長机に腰を下ろし、鞄を置く。

 来たのはいいけど、先輩がいないと仕事もないよなあ。

 今日出た宿題でもやってようかな…?

 国語、国語っと。

 

 宿題を始めてから十数分。

 ドアが開くと共にいつもの元気な寮長の声が響いた。

「あら、直枝くん早いわね~!」

「あ、はい」

 顔をあげると、いつもの軽い調子で手をヒラヒラ振っている寮長。

「もしかしして…私に早く会いたくて着ちゃった?」

「ブッ!? ちっ、違いますよっ」

「冗談よ、冗談」

「あーけど、そこまで一生懸命否定されると私、傷つくなー」

 さらにわざとヘコんだ雰囲気を醸し出している。

 前はコレに引っかかって「ホント、直枝くんっていちいち可愛いわねーっ!」とからかわれたっけ。

 もう、どこまでもイタズラ好きな人なんだから…。

「それ宿題?」

 僕のノートを覗きこんできた。

「仕事もなかったので進めようかと思って」

「へー、2年生の問題も懐かしいわねえ…あ、そこの『手さげ』は手下げじゃなくて手提げ」

「そうなんですか?」

「そうよ。はぁ、直枝くんって意外と漢字苦手?」

「あはは…」

「ここも漢字が違うわよ」

「う…」

 寮長が指差したところを慌てて直す。

「これは先輩として見過ごしておけないわね」

 うんうんと一人頷いている寮長が長机に座っている僕の横のパイプイスに腰を下ろした。

「私が直々に教えてあげるわ」

「けど寮長は仕事が…」

「けどもだってもなし。見てられないからねえ、これじゃ」

 寮長がパイプイスをズリズリとずらし、僕と肩を並べた。

「ここはきちんとはねること」

「あ、はい」

「次は四字熟語ね。これの意味は――」

 まるで家庭教師と授業をしているみたいだ……。

 

 そうして宿題(授業?)をしていると。

 ガラガラガラ~。

「遅くなりました」

 寮長室のドアが開いて佳奈多さんが入って――

「あーちゃん先輩、書類の件ですが――」

 入ってこなかった。

 なぜか僕と寮長の方を見たままビクッと止まった佳奈多さん。

 

「どうしたの、佳奈多さん?」「どうしたの、かなちゃん?」

 

 見事に僕と寮長の声がハモる。

「もう、直枝くんったら合わせないでよね~」

「合わせたわけじゃないですよっ」

 あれ?

 僕たちの様子を見た佳奈多さんの顔が……不機嫌そうに変わったような気が。

 佳奈多さんはいつもより鋭いペースでツカツカと寮長室に入ってきた。

「この書類ですがこのまま全てに許可を出しても良いですか?」

 声もどこかいつもより尖っている。

「そうね、そうしてくれると助かるわ」

「わかりました」

 そう言うと、佳奈多さんが僕たちから少し離れた長机にドカッと腰を下ろした。

 続けて乱暴に書類をまとめる音。

「はい、直枝くんは宿題の続き。安心しなさいな、私が手伝ってあげるから」

 寮長の声と同時に、向こうの書類をまとめている音が一瞬だけ止まってすぐに再開された。

 …あれ?

 どうしてだろ、寮長の顔がイタズラ顔になってる。

 いかにも嬉しそうといった顔なんだけど。

 

 カリカリカリ。

 ケシケシ。

 カリカリカリ……。

 

 あれから数分。

 僕が寮長に宿題を見てもらっているわけだけど……。

「……」

「どうしたの、直枝くん?」

「いえ…」

 

――チラ、チラチラ――

 ちらりっ――

 

 し、視線を感じる!

 佳奈多さんの方からだ!

 けど、気になって佳奈多さんの方を見ると

「書式は良しと。次」

 何事もなかったかのように書類に目を通している。

 絶対見られてると思ったんだけどなぁ。

 何気なく寮長の方を見ると

「…くすくすくす」

 なぜか笑っていた。

「ごめんごめん。あ、ほら直枝くん、そこ間違ってるわよ」

 寮長が僕の方に身を寄せたときだった。

「あーちゃん先輩」

「…どうしたのー、かなちゃん?」

「わからない場所があるので、こちらへ来て、見ていただけませんか?」

 こちらへ来てが妙に強調されていた。

 寮長が席を立って、佳奈多さんの書類を覗きこむ。

「どこ?」

「ここです」

「ここは無記入でいいわよ……って前も言わなかったっけ」

「忘れていました」

「そ。ならその調子でお願いね」

「はい」

 そして寮長が僕の隣へ戻ってきた。

 その間に僕は指摘された問題を直し終わっていた。

「えーっと、さっきの問題は……直したわね。正解よ」

 

 カリカリカリ……。

 

「そこの問題は――」

「あーちゃん先輩」

 寮長が言い終わる前に、佳奈多さんの声がそれを止めた。

「どうしたの?」

「わからないところがあるので、こちらに来てくれませんか?」

 

 それを聞いた寮長が小声で

「かなちゃんって本当にわかりやすいわねえ……ふふふ」

 と呟いていた。