SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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102.あーちゃん先輩のイメージ

 #あーちゃん先輩でひと妄想をばw

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――放課後の寮長室。

 毎度ながら、今日も棗くんに寮会の仕事の手伝いを頼んでしまった…。

 

「OK」

 ふぅ、と一息吐き出す棗くん。

「こっちの終わったからな」

「え、うっそ!? あんなにあったのに、もう終わっちゃったの!?」

「だから任せろって言ったろ?」

 ポンポンと書類を揃えながら、いつものフッとしたクールな笑み。

「棗くん様様ねえ。ホント…よいしょっと…棗くんがいると仕事がはかどるわぁ」

「…………」

 棗くんが片眉を上げてわたしの横顔を見つめている。

「どしたの?」

「…なあ」

「ん? なあに?」

「おまえの机から、また書類の束が俺のところに置かれたんだが」

「あら……もしかしてバレた?」

「バレバレだろ、どう考えたって」

「いいのよぉ、遠慮しなくて」

「かの賢人も言ったじゃない。『おまえのものは俺のもの』って」

「その名言の使い方、間違ってるからな」

「そうだっけ? なら、これ、わたしの名言ってことでお願い」

 溜息しながらの苦笑いが浮かんでいる。

「ま、おまえの名言ってことにしといてやるから…こっちの束は自分でやれよ」

「もう、棗くんはホントわがままねぇ。思いやりの精神ってものがないのかしら」

「毎度毎度俺を呼び付けるおまえには言われたくないさ」

「痛いところついてくるわねぇ」

「わかったわよ。仕方ない」

「はぁぁ…それは仕方なくわたしがやるからいいわ」

「元からおまえの分だからな」

「じゃあ、棗くんには別のお願い」

「マジか…」

「そうねー…わたしの肩もみ、なんてどう? 最近こっちゃってて」

 肩を抑えながら首をクルクルと回す。

 そんなわたしを見て、はぁ…、と棗くんは深々と溜息をついている。

「……わかった。やってやるから、ちゃんと残りの書類は自分で片付けろよ」

「はいはい」

 

――棗くんの大きな手がわたしの肩を程よい力で刺激している。

「あー、そこそこ、そこいいわぁ…」

「結構こってるな」

「そうなのよ、ここんとこプレステのダブルキャストにハマっちゃって」

「ゲームかよ…」

 不意に手がどけられた。

「うそうそ、やめないでよ、冗談よ。新年度だから新入生関係ので忙しかったの」

「で、帰った後はゲームな」

「そうそう、寝る暇も惜しんで……って、いいじゃない、そこは」

「俺もゲーマーだしな。気持ちは…、わ、か、る、と」

 テンポよく棗くんの親指が肩を刺激して…正直、気持ちよすぎる。

「あ、いいわぁ…疲れてるのに止められないのよねぇ、ゲームって」

「寮会も忙しいんだ。ほどほどにな」

「棗くんに注意されるなんて、わたしも焼きが回ったものねえ」

「そら、もういいだろ」

「あー…うん、大分いいわ。ありがと、棗くん」

「ったく」

「いいように俺を使うなんておまえくらいだからな?」

「棗くんって、ホントものが頼みやすくて。毎度毎度ごめんねー」

 

――棗くんが帰った後、わたしはいつものように書類もやらずに机に伏した。

「あーちゃん先輩」

「なぁに、かなちゃん」

「……」

「なによ?」

「気付かないと思いますよ。棗先輩、どう見ても鈍いですから」

「……はぁ」

「はっきり言えばいいじゃないですか」

「なにをよ?」

「好きって。棗先輩に」

「……はぁ」

 窓の外のグラウンドを見ながら大きく溜息。

 

「それが言えたらこんな苦労しないわよ……はぁ……」