SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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48.ベタシチュエーション・消しゴム編

 

 

#では、こんなベタなシチュエーションはいかがでしょう?

 

――ここは寮長室。

佳奈多さんと二人並んで、いつものように書類を書いている。

「直枝…あなた、まだ半分も終わってないじゃない」

「ご、ごめん」

「謝る前にテキパキと手を動かしたらどう?」

「ごめ…あっ」

「……はぁ、呆れて何も言えない」

僕から興味を失ったように作業に戻る佳奈多さん。

佳奈多さんが仕事速いだけ…なんて言い訳をしたら何と言われるかわかったものじゃない。

 

部屋にはペンを走らせる音だけが聞えている。

「あ…」

――ころん。ころころ…。

「?」

佳奈多さんの消しゴムが足元に転がってきた。

僕は反射的にそれを取ろうと手を伸ばす。

 

――ぺとっ

 

あれれ?

消しゴムとは違う…温かいものに手が触れた。

僕の手の先には…

「あ…っ」

佳奈多さんの手。

僕の手は、佳奈多さんの手の上に添えられていて…

「……――」

佳奈多さんは驚いたような表情で僕の顔を見て停止しているっ!

ど、どうしようっ!?

「………………」

佳奈多さんの頬がうっすらと桜色に色づいている…。

ぼ、僕も顔が…っ!

「……」

温もりだけが手から伝わってくる。

恐らく数秒だと思うけど…まるで何分もそうしているかのように感じられる。

「……」

佳奈多さんがゆっくりと目を僕から背けた。

「…ご、ごめん…」

手をどけようとした時。

――僕の指先に

佳奈多さんの指が…。

「…え?」

「…………………………」

佳奈多さんは桜色に染まった顔を僕から背け…けれどその指は、僕の指先を愛おしそうに撫でている。

「……」

僕も佳奈多さんの指先に反応を返す。

その反応に佳奈多さんが真っ赤になって俯くが、指先だけは僕の指に絡んでくる。

そして、二人の指と指が絡み…。

 

――ガラガラガラ~!!

「ただいまーっ! 二人とも私がいない間寂しくなかったかなーっ?」

 

――ドタンバタンドタバタガターンバタンッ!!!

 

僕は飛び上がり、書類は宙を舞い、佳奈多さんに至ってはイスから転げ落ちた!!

 

「…はぁ、はぁ、はぁ…!」

「…ハァ、ハァ、ハァ…!」

二人とも胸を押さえて、呼吸を整えようと必死だ!

「ど、どーしたの二人とも?」

「だだだ大丈夫ですっっっ!!!!」

「二木さん、そ、そんな大声ださなくても聞えるから…」

寮長の不思議そうな目が…痛かった…。

 

 

はい、よくある消しゴムイベント(命名:m)でございますw