SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

Traffic Jam Products

かなたんでGO!えくすてんしょん 最終回

素っ気無し、愛想なし、配慮なしの佳奈多が送る シュール系ラジオ。2009年にTraffic jamで全13回放送(書いた)。実際にお便り募集を行なっていました

 

再アップのついでにお便りを増量加筆して再度お届けも今回が最終回です!

 

***

 

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こんばんは。

私は風紀委の委員長を務めている二木佳奈多。

それじゃあ、さっそく始めましょうか。

『かなたんでGO!』

 

はぁ……。

今日でこのラジオも最終回ね。

最終回だからといって、これといって特別なことをするわけでもないけど。

別に名残惜しいとか寂しいとかなんて思ってないし。

仕事が一つ終わってせいせいしただけ。

思い返すとこの13回、意外と短かった気がするわね。

あーちゃん先輩がどこかのラジオに影響を受けて、このラジオ企画をしたのが10月。

あーちゃん先輩が企画したのにパーソナリティが私なんて不条理よ。

曰く「キャラがいいから」って。

無愛想だし素っ気無いだけの私を選ぶあーちゃん先輩の気が知れないわ。

こんな私なんかのラジオを訊いて、視聴者も面白いのかしら?

はぁ……。

それ以来、この4ヶ月はそれはもう苦労の連続。

水曜日になると、その日話すことを考えて授業は上の空。

それに寮長室にまで相談に来る生徒が増えたわ…。

あーちゃん先輩なんて「かなちゃん、ひと商売できそうじゃない?」って…もう。

授業中にお便りを書いていて没収された生徒――神北さんだけど――の尻拭いさせられたこともあったわね…。

リトルバスターズの面々なんて、放送の次の日にはわざわざラジオの感想を言いに来るのよ?

机の周りに集まられると息苦しいのよ。

それなのに葉留佳もクドリャフカも来ヶ谷さんも西園さんも神北さんもあれやこれや言いまくり。

棗先輩なんて窓から飛び込んでくるなり、拍手総計とコメントしてくるし。

妹さんの方は宮沢に「昨日のアレはどーいう意味だっ」って飛び蹴りよ、飛び蹴り。

井ノ原なんて毎回毎回「てめぇ、オレになんか恨みでもあんのかーっ」って。

髪をむしる井ノ原とそれを必死に止める直枝なんてクラス名物にまでなってたのよ……人のクラスなのに。

私たちの教室で大騒ぎするのだけはやめて欲しかったわ。

はぁ、本当に……。

……。

……なんでもない。

長くなってしまったわね。

それじゃあ、フツオタ(普通のお便り)でも紹介しようかしら?

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『ラジオがとても面白かったです!』

 

私はただいつも通り話しているだけなのに面白いのかしら?

けど嬉しいわね、こういうことを言われると。

今日で終わりだけど、最後まで聞いてくれると嬉しいわ。

次。

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『ちょwww 牛乳吹いたwww』

 

牛乳を飲みながらラジオを聞くほうが悪いわ。

次。

ラジオネーム・あーちゃん先輩(本人)さんから頂きました……って。

 

『かーなーちゃ~~~んっ!! 今日でラジオからかなちゃんの声が聞えてくるのもお終いなのね(泣) あーちゃん寂しい(しくしく) 全13回、本当にお疲れ様! 毎週毎週、楽しくて楽しくて良かったわよ? ラジオだけじゃなく、かなちゃんが「あの、あーちゃん先輩、○○って何のことでしょうか?」とか一生懸命取り組んでくれてるところなんてね。最初はイヤイヤだったのに週を重ねるごとに活き活きしていくのは見ていて嬉しかったわよ(笑) じゃあ、今日で最後だけど、最後の最後までしっかりがんばること! それが終わったら、今度私と一緒にお出かけしましょ(笑) なんでもおごっちゃうわよ~!』

 

あーちゃん先輩……。

……。

はい。

最後の最後までしっかりとやり抜くなんて当たり前です!

お出かけしたときは覚悟しておいてください。

色々ありますから、欲しい物。

 

 

いつものコーナーに行くわ。

『かなちゃんのらぶり~アドバイス』

リスナーの悩みを大募集。

それをこの私、二木佳奈多が解決するコーナーよ。

このコーナーも今日で終わり、か…。

なんでもない。

それにしても最後だけあって今回はお便りが多いわね。

では、さっそく1枚目。

ラジオネーム・相川君さんより頂きました。ありがと。

 

『佳奈多さん、こんにちわ!』 こんにちは。

『以前、優しい方々のおかげで大好きなS・Sさんと仲良くなってからというもの、幸せに継ぐ幸せです。以前は5回に1度メールが返ってきたのですが、今では必ず宛先不明のメールが返ってきます。ツンツンして気を惹こうとしているS・Sさんに萌え! そろそろ大イベントのフラグが立ってるはずなのですが、イベント発生条件がわかりません。どうしたらいいでしょうか?』

 

もうやめなさい、あなたの好感度はゼロよ。

次。

ラジオネーム・銃さんから頂きました。ありがと。

銃さんは2回目から毎回投稿してくれてるわね。

……その、嬉しいわ。

じゃあ、コホン。

 

『佳奈多さん、部活で四月に情報処理の国家試験を受けることになりました。どうしたらいいでしょう?』

 

勉強すればいいじゃない。

と、最後だしもう少し。

資格試験は合格するかしないか。ようは1か0の世界。受からなければ意味を成さない。

一番大切なのは過去問よ。よく研究すること。

ほとんどの資格試験の合格ラインは60%だということを覚えておくといいわ。受験みたいに落とすための試験ではないことも。

情報系に詳しい人が知り合いから訊いたけど、どうやら春から新制度に移行してしまうようね。

応援してる。がんばりなさい。

次。

 

ラジオネーム・春田さんから頂きました。ありがと。

 

『佳奈多は俺のだからごめんな>arl』

 

arlじゃなくてall。

弱いわ、頭。

次。

ラジオネーム・ナイトレイさんより頂きました。ありがと。

 

『前回の呼び名のことです。佳奈多様ではだめだと思います! かなたん様にしましょう!』

 

い、嫌よ。

それじゃあ、カッコいいのかカッコ悪いのかわからないじゃない。

次。

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『佳奈多、愛してる!結婚してくれ!』

 

却下。

次。

ラジオネーム・ねこねこにゃんにゃんさんから頂きました。ありがと。

 

『学校に黒ネコがいるんだが、なかなかあたしに懐いてくれない。理樹にばっかり懐くんだ。なんかプレゼントで気を引きたいんだが、いいのないか?』

 

どうでもいいわね。

にぼしでいいんじゃない?

次。

ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『かなたん、かなたん』 ……なに。

『かなたんの好きなものって何?』

 

に・ぼ・し。

次。

ラジオネーム・ささっこちゃんさんから頂きました。ありがと。

 

『むっきーっ! 初回であなたがわたくしに変な名前を付けるからテンテコ舞でしたわっ! 今日で最後なんですし、今度こそは噛まれないで、かつ、わたくしに似合ういいニックネームをつけてくださらないかしら?』

 

にぼし。

次。

ラジ――

理:佳奈多さん、ちょっとそれは可哀想だよ。

佳:な、なお、なお、直枝っ!?

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※直枝さんの写真が女そ――ゲフンゲフン、よい写真がなかったので夏に撮った写真で代用(スタッフより)

 

(以下、理樹:理、佳奈多:佳)

理:あははは…今日のゲストだったんだけど、女子寮の寮長さんから用事頼まれちゃって。

佳:え…いや…なんで…エェェェ!?

理:あれ、寮長さんから聞いてなかった?

佳:なるほど…あーちゃん先輩の仕業ね…ハァァァ…。何も聞いてない。

理:そうだ、寮長さんから手紙を預かってきたんだ。

佳:ふぅん、貸して。

 

『最後の最後のサプライズゲストよ。どう、驚いちゃったでしょ? 驚いたかなちゃんの顔が目に浮かぶわ~』

 

佳:あ、あーちゃん先輩っっっ!!

理:いやいやいやっ、僕に掴みかかられてもっ!!

佳:な、なんで最後の最後によりにもよって、な、な、直枝っ!?

理:そんなこと言われてもっ。

佳:あーもうっ!

佳:次よ、次!

佳:ラジオネーム・濫心さんから頂きました。ありがと。

理:ありがと、濫心さん!

 

『かわいい男の娘は、好きですか?』

 

佳:なっ…!?

佳:すすすすすすすすすすすすすす好きなワケないじゃないっ!!

佳:な、ななな何この変なお便り!

佳:つぎつぎ。次のお便りは――

理:あの…佳奈多さん、なんで僕のほう見てるの?

佳:エッ!? あ…――――~~~~~~~~っっっ!

佳:べべべべ別に直枝を、み、み、見てなんかいないっ!!

佳:ほ、ほんとみてないっ!

佳:あ、あなた、何? 自意識過剰よ、自意識過剰!!

理:え、僕が悪いのっ!? じゃあさ、えっと、聞きづらいんだけどさ。

佳:な、なによ?

理:佳奈多さんの好みのタイプってどんな人なの?

佳:こ、こ、好みのタイプっっっ!?!?

理:いや、そこまで驚かれても困るけど。言いたくないなら話さなくても――

佳:かかかか可愛い男の子なんて、もう全然! 全くちっともこれっぽちもかすりもしないわ!

理:全然僕の話、聞いてないよね…。

佳:そうね、あ、あれね。背が高くて、たくましいのがいいわ、スタンダードにっ!

理:そうなんだ……僕と正反対な人だね……。

佳:あ…え、えっと、けど、な、なななな直枝みたいな――

 

ガタッ、バシャッ!!

 

佳:きゃっ!?

理:うわわわ、水がっ

スタッフ:あー、僕拭いておくんで次おねがいしまーす。時間押してるんで。

佳:つ、次。

理:佳奈多さん、なんか顔が赤――わっ

理:な、なんで小突くのさーっ!?

佳:うるさい。ラジオネーム・松下五段さんから頂きました。ありがと。

 

『算数をやっていると思うのですが、たかし君はお兄さんはどうして一緒に家をでないのですか? どうして15分経ってから自転車で出るのですか?』

 

佳:姉妹…じゃなくて兄弟で同時に何かしないようにする時期は必ずあるわ。

理:佳奈多さんが言うと説得力あるね……。だけど、ちゃんとその後自転車で追いつくんだよね。やっぱり一緒に行きたかったのかな?

佳:こういうのが『ツンデレ』と言うらしいわね。

佳:言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに。非効率すぎ。全く理解できないわ。

理:え…………………………。

佳:なに?

理:い、いやいやいや……なんでもないよ。うん

佳:ふーん…? ま、いいわ、次。

佳:ラジオネーム・高松さんから頂きました。ありがと。

理:ありがとうございますっ!

 

『たかし君とお兄さんはどうしていつも池の周りをまわってるんですか?』

 

理:たかし君のことはそっとしておいてあげようよ…。池の周りを周りたい気分の時だってあると思うんだ……。

佳:この理不尽な行動、ひょっとしたら何かの儀式かもしれないわ。

理:ええっ!?

佳:学校の怪談でよくあるじゃない。トイレで3回まわった後にキックキックトントンとか。

理:そういえばウチの七不思議であったっけ。佳奈多さんもそういうのに興味があるんだね。

佳:な…こ、これは…葉留佳が「やろうやろう」ってうるさかっただけ!

佳:な、なにほっこりした笑顔浮かべてるのよ! つ、次!

佳:ラジオネーム・日向さんから頂きました。ありがと。

 

『たかし君、またスーパーで1個40円のミカンと1個90円のリンゴを合わせて23個くらい買ってんだけど持って帰れるのか? 他人ごとながら心配だ』

 

佳:優しいわね。正直、どうでもいいわ。

理:わ、佳奈多さん正直すぎだよ…。

佳:次。ラジオネーム・岩沢さんから頂きました。ありがと。

 

『たかし君が壁に向かって声を出して、声が返ってくるまでの時間を測ってるんだ。コイツ大丈夫か…?』

 

理:いーやいやいや何そのたかし君推し!?

佳:人生にはモテ期が3回あると聞くわ。その内の1回じゃないかしら、たかし君にとっての。

理:たかし君が可哀想すぎるからっ!!

佳:次。ラジオネーム・わかる人にだけ通じれば良い業界あるあるさんから頂きました。ありがと。

理:業界あるあるさん、ありがとうございますっ!

 

『/* なぜかわからんが動くのでここはいじらないでください。 */』

 

佳:なにこれ?

理:さ、さぁ……?

佳:次ね。ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

 

『テスト終わった後に鉛筆をカーンッ!って力強くおいて終わったアピールする奴いません?』

 

理:いるね……。

佳:いるわね。

佳:このタイプの人にパソコンを触らせると、書類作成が終わったところでエンターキーをッターン!てやるのは検証済みよ。

理:検証したんだ!?

佳:次。ラジオネーム・となりの井ノ原くんさんから頂きました。ありがと。

理:誰だろ、いつも真人のことを見てくれてるよね。

 

『井ノ原くんが黒板の日直を見て「前々から黒板にヒジキって書いてるけど、ありゃどういう意味だ?」と聞いていました。どうしてこの学校に一緒にいるのか不思議でなりません』

 

佳:そうね、井ノ原の合格は学園の七不思議に数えられているわ。彼が合格できた秘密があるのかしら?

理:真人、いつもこんな感じだけど入試の時は筋トレを休んでまで勉強してたからね。

理:あの時は僕たち全員で協力して真人に勉強を教えたんだ。

理:真人が自分から「寝ちまわないようにハチマキに剣山を仕込んでおくぜ!」って言って……ノートを血まみれにしたこともあったっけ……。

佳:努力は認めるけど、やっぱり脳みそ筋肉ね。

理:あは、あはは……。

佳:ラジオネーム・筋肉革命さんから頂きました。ありがと。

理:真――筋肉革命さん、もはや葉書き職人の域まで達してきたね、これ…。

 

『オレのお便りも読んでくれぇぇぇーーーっ!!』

 

佳:読んだわ。

佳:次。

理:えーっ!? ちょっとそれはいくらなんでも可哀想だよっ!

佳:けど、だってこれ。

理:え…? あ、ホントだ。それしか書いてないね……。

佳:次。

佳:あ……これで最後ね……最後。

佳:…………。

佳:ラジオネーム・ytachiさんから頂きました。ありがと。

理:ありがと!

 

『かなたんにとってこのラジオってどう?』

 

佳:……。

佳:……そう…ね。

佳:あーちゃん先輩に押し付けられた仕事…………だった。

佳:最初は面倒くさいだけ、そう思ってた。

佳:けど。

佳:みんなから寄せられるお便り。

佳:頼られるのが……嬉しくなった。

佳:みんなから寄せられるラジオの感想。

佳:読むのが……恥かしくて楽しくて。

佳:そして…。

佳:みんなが喜んでくれたことが、本当に嬉しかった。

佳:無愛想なこんな私なんかでも、みんなを楽しませてあげられるんだって、わかった。

佳:私は…。

佳:私は……。

佳:このラジオをできたことを――誇りに思います。

理:……。

佳:………………。

佳:……………………。

理:佳奈多さん…大丈夫?

佳:…大丈夫。

佳:ふぅ…。

佳:これで最後のお便りは終わり。

佳:ラジオも――

理:佳奈多さん、ちょっと待って。

佳:どうしたの?

理:みんなからこれを預かってきたんだ。

佳:……? なにこれ?

理:ボイスレターだよ。

佳:ボイス…レター?

理:うん。声の手紙。じゃあ、かけさせてもらうね。

 

『――――当にこんなもんで録音できんのか?』

『ふぇぇ~、最近の技術はすごいんだね~』

『たまには馬鹿兄貴も役に立つな』

『ほらほら静かにしろ、もう録音スイッチ押したからな』

『わ、わふーっ!? 私はまだ心の準備が、で、出来てませんーっ』

『いやいや、クド…そこまで緊張しなくて大丈夫だからね』

『ゴソ――二木、聞えるか? 恭介だ。いきなりこんなものを送りつけてすまない』

『恭介氏、こんなものとは酷い言い様だな』

『こいつらがボイスレターを送りたいって聞かないもんでな。まぁ、聞いてやってくれ』

『トップバッター、小毬』

『わ、私~っ? あ、え、こほん。かなちゃん聞えますか~? 小毬ですよ~』

『……神北さん、その出だしはまるで単身赴任のお父さんが子どもに送ったビデオレターのようです』

『そうかな? えと、かなちゃん、毎週とってもとっても楽しかったよ~。私のお便りも読んでくれてありがとー!』

『OK。時間も限られてるからな。ドンドン行くぞ。次、能美』

『わ、私ですかっ!? か、佳奈多さん、いつも一生懸命な佳奈多さんは輝いていましたっ! ラジオをやってから佳奈多さんの笑顔の回数が増えた気がしますっ』

『次、鈴』

『うーみゅ……こ、こーゆーの、慣れない……いいんちょー、いつも面白かったぞ』

『次は私だな』

『二木君、来ヶ谷だ。ラジオをやり始めてからキミは変わったぞ。どうだ、楽しかっただろう? それと私の送ったおっぱいを読んでくれたときは興奮ものだった』

『……それはセクハラにあたるかと』

『……わたしです、西園です。先日はゲストとしてお招き下さりありがとうございます。お陰でわたしもアレはステータスと思えるようになりました』

『次は謙吾だな…おい謙吾』

『……二木……おまえに相談した結果フラれたぞ……』

『恋愛は結局は自分自身の問題だからな。次、真人』

『オレのお便りも読んでくれぇぇぇーーーっ!!』

『おまえ、そればっかだな。じゃあ、俺な』

『二木、おまえのラジオは最高だ。俺の一問一答も危うくおまえのラジオ番組に乗っ取られる勢いだったしな。毎週俺も楽しみだったんだぜ?』

 

佳:み、みんな……。

佳:なっ、なによ。あ、明日学校で言えばいいじゃない…。

佳:わざわざ…こんな演出までして。

佳:……。

 

『――――』

 

佳:これで……終わり?

理:ううん。

 

『――――――――――』

『――――………………』

『どうしたんだ、三枝?』

『あ、やはは……いやぁ、やっぱりいざこういうの前にすると妙に緊張しますナ』

『えーっと…あはは』

『あ、あー。お、お姉ちゃん? その…お姉ちゃんのラジオ、毎週聞き逃さないで聞いたよ?』

『毎週毎週、ずっとお姉ちゃん、がんばってたもんね』

『雨の日も、寒い日も、パーティーがあった日も』

『いつもお姉ちゃん、ラジオがメンドイーとか行きたくないーって言ってたけど、本当はこのラジオが大好きだったんだよね』

『お便りとか応援メッセージ読んでたときのお姉ちゃんの顔、すっごい嬉しそうだったよ』

『その気持ち、きっと聴いてる人にも伝わってたと思う』

『お姉ちゃん』

『とっても、楽しかったよ』

 

プツッ。

 

佳:…………。

理:…………。

佳:………もう……は、話しづらく…なっちゃうじゃない。

佳:…………。

佳:葉留佳……もう……。

佳:……そうね。

佳:楽しかった。

佳:ううん。そんなのじゃ伝えられない。とってもとっても、とっても楽しかった。

佳:……。

 

じゃあ、最後の挨拶…になってしまうわね。

ラジオ『かなたんでGO!』、今日まで聴いてくれて本当にありがとうございます。

みなさんからのお便り、メッセージ……とても嬉しかった。

私なんかが応援してもらえるなんて……思ってもいなかった…。

思い返すと、込み上げてくるものが……あるわね……。

……。

ちょっと…声が詰まっちゃっ……んんっ。

あーちゃん先輩と約束したし、最後まできちんと話さなきゃいけないわ…ね。

今日で、このラジオはお終い。

本当に、今まで――ありがとう。

 

 

 

 

……時間が来てしまったわ。

最後は、この曲でお別れしましょう。

 

Ritaさんで『Alicemagic』

 

 

 

 

 

(スタッフ:佳奈多さん、お客さんが見えられてますので通しますよ)

「お客さん…? って、あなたたち…」

 

「やはは、来ちゃった」

「かなちゃ~ん、そこで聴いてたけど、もう、すんごい、すんごい良かったよ~っ」

「わた、私、な、涙がでてしまったのです~~~……ぐずっ…ぐすぐす」

「……二木さん、泣いていたりはしませんか?」

「あっ……な、な、泣いてなんかないわよ」

「悪い、二木。ボイスレターまで送っておいてあれだが…みんなで来ちまった」

「ほら、葉留佳君、佳奈多君に渡すものがあるだろう?」

「あ、う、うん」

「?」

「え、えーっとね、お姉ちゃん……こ、これ受け取って!」

「これって……花束じゃない!」

「うん、みんなで500円ずつ出し合って買ったんだ」

「い、いいの……?」

「当たり前だよ、お姉ちゃんのために買ったんだもん」

「じゃあ、みんないい? いっせーのーでっ」

 

 

         今まで――本当にお疲れさまでしたっ!!  

 

 

「……ありがとう、みんな……――」

「やはは……やっぱり、こーゆーのって照れますネ…って、お姉ちゃん!?」

「……ぐすっ……ぐすっ……うっ…うぁぅ……」

「うっ、ぅぁ…ぐずっ……う」

「お、お姉ちゃん、な、泣いてるっ!?」

「だって……ぐすっ……だって……うぅ……すっごく、うれ…ぐすっ…うれし、かったんだもんっ…」

 

「本当に――ありがとう」

 

 

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~ FIN ~

 

 

かなたんでGO!えくすてんしょん 第12回

素っ気無し、愛想なし、配慮なしの佳奈多が送る シュール系ラジオ。2009年にTraffic jamで全13回放送(書いた)。実際にお便り募集を行なっていました

 

再アップのついでにお便りを増量加筆して再度お届け!

 

 

***

 

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こんばんは。

私は風紀委の委員長を務めている二木佳奈多。

それじゃあ、さっそく始めましょうか。

『かなたんでGO!』

 

はぁ…。

このラジオももう12回。

今回と次回の後2回で、このラジオもお終い。

これで私の仕事は終わりね。

別に私はあーちゃん先輩の代わりにやってただけだし。

だから……。

……。

……。

…なんでもない。

じゃあ、いきなりだけどお便りを紹介するわ。

どれにしようかしら?

これね。

では。

ラジオネーム・あーちゃん先輩(本人)さんより頂きました。

え? まさか……。

 

『かなちゃーん、今日もお疲れ様! 毎週楽しく聞かせてもらってるわよ。思い返せば、最初頼んだときはあんなに渋々だったのに、今じゃかなちゃんノリノリだもんね。紹介した甲斐があったってものよ(笑) それでさ、お願いなんだけど良かったら私も一回ゲストで出してくれない?  お願いっ!』

 

あーちゃん先輩っ!

元はといえば、あーちゃん先輩がラジオをやるはずだったんじゃないですか。

はぁ…。

ゲストといっても今回と次回の2回しかありませんから、スケジュールが…。

え?

(なに、スタッフ?)

(もう来てる?)

(誰が?)

はぁ!?

(以下。あーちゃん先輩:あ、佳奈多:佳)

あ:かなちゃーん、来ちゃった♪

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佳:あ、あーちゃん先輩っ!?

佳:来ちゃった、じゃないですからっ! 突然すぎます!

あ:大丈夫よ。

あ:きちーんと先週からプロデューサーさんとは打ち合わせしといたから。

佳:私は聞いてません!

あ:あれ、そうだっけ? そういえば言うの忘れてたかも。

佳:絶対確信犯ですよね。

あ:バレたか…。

あ:最近かなちゃんの元気なかったからサプライズってヤ・ツ・よ。

佳:私が?

あ:そうよー。仕事中の溜息も日ごとに増えてるし。

あ:やっぱりこのラジオ番組が次で終わっちゃうからかしら?

佳:ちっ、違いますっ!

あ:うふふっ、違うってことにしといてあげる。

あ:じゃあ早速いつものコーナーいってみよーっ!

佳:あーちゃん先輩が仕切らないでくださいっ!

佳:コ、コホン。では次のコーナに移るわ。

あ:言い直すなんて、相変わらずかなちゃんカワイイこと♪

佳:あ、あーちゃん先輩っっ!!!

あ:ハ、ハイ! どうしたのかなちゃん、いきなり大きな声出して?

佳:~~~~っ!

 

佳&あ:『かなちゃんのらぶり~アドバイス』

佳:リスナーの悩みを大募集。

佳:それをこの私、二木佳奈多が――

あ:と、今日は私ことあーちゃんが解決していくスペシャルなコーナー!

あ:今日選ばれた人はホント幸せねー。だってダブルよ? ダブル。

あ:ね、かなちゃん?

佳:はぁ…………。

あ:どったの? ずいぶんと深い溜息ね?

佳:なんでもありません…。

あ:そう? あ、それでお便りはこの箱から選ぶの?

佳:そうです。

あ:ね、選ばせてもらっていいかしら?

佳:もう勝手にしてください。

あ:さすがかなちゃんっ! じゃんっ、ぐるぐるぐるぐる……あ、かなちゃん、ストップって言ってね。

佳:ストップ。

あ:えー…これ!

あ:なになに、ラジオネーム・匿名希望さん! おめでとうー!

佳:お便りありがと。

 

『佳奈多さん、いつも楽しく聞かせてもらっています』

佳:そ、ありがと。

『ところで、佳奈多さんは「かなちゃん」とか「かなかな♪」など、色んな呼ばれ方を嫌ってますが、どう呼ばれるのが一番好きですか?』

 

あ:かなちゃんはやっぱりかなちゃんじゃない?

あ:それか……そう、かなたん! もしくはかなっぺ!

あ:かなちゃんって結構かわいい物好きだし、みんなも可愛く呼んであげて♪

 

佳:佳奈多様。

 

あ:……。

佳:……。

あ:……。

佳:冗談ですから。

あ:今の目、冗談には見えなかったんだけどー…私の気のせい?

佳:気のせいです。

あ:もしかしてかなちゃん、怒ってない?

佳:怒ってません。

佳:次。

 

佳:ラジオネーム・となりの井ノ原くんさんから頂きました。ありがと。

あ:いつも井ノ原くんのことみてるわねー。ありがとー!

 

『おととい井ノ原くんが不思議そうな顔で「なんで悪ぃことをすると手を染めるのにやめるときは足を洗うんだ?」と聞いてきたんです! わたし、答えられなくて>< 答えは何なのでしょうか!?』

 

佳:井ノ原のくせにそんなところを突いてくるなんて…。

あ:彼もたまーに鋭いことをいうからね~。

佳:これ、わかります?

あ:立ち仕事が多くて足がむくんでたんじゃない? 洗うとすっきりするわよ?

佳:スーパーのアルバイトじゃないんですから……。

あ:かなちゃんのその呆れ顔も私好きだわ~。

佳:ぐ…っ、あーちゃん先輩が何を考えているかわかりません…ハァ。

 あ:あら、何も考えてないわよ? さ、次いきましょっ!

 

佳:ラジオネーム・銃さんから頂きました。ありがと。

あ:おっ、常連さんかな。ありがとー!

 

『佳奈多さんは十三と言えば何を思い浮かべますか? ちなみに自分はタロットの十三で死神です』

 

佳:誕生日ね。

あ:10月13日だもんね。

佳:なぜか13日って金曜日が多い気がするわ…。

あ:いいじゃない、花金よ、花金。

佳:それ、古いです。

あ:え、そう?

佳:次。

佳:ラジオネーム・匿名希望さんから頂きました。ありがと。

あ:ありがとね♪

 

『佳奈多さん、こんにちは』 こんにちは。

『佳奈多さんのお勧めのテレビ番組とかありませんか?』

 

佳:なし。

佳:次。

あ:あー待って待って! それじゃ匿名希望さんが可哀想でしょ?

佳:ないものはないですから。

あ:フフーン、ならこのあーちゃん先輩が答えるとしますか。

あ:私のお勧めは去年大ブレイクした『腰痛戦隊☆コシサポーターズ』よ!

あ:平均年齢78歳っていう斬新な設定がまた好感触!

あ:あれは第一話から熱い展開だったわね~。

あ:第1話『駆け抜ける激痛!遅すぎたヒーロー』!

あ:最初からクライマックスよ!!

あ:かなちゃんもはーちゃんと見たんじゃなかったっけ? どの話が良かった?

佳:あれは葉留佳につき合わされただけです!

佳:第七話『忘却!朝飯はまだか!』は葉留佳に言わせると神回らしいですが。

あ:そこを突くとはコアなファンねーっ! はーちゃんとは是非語り合いたいもんだわ。

佳:はぁ…次。

 

佳:ラジオネーム・ボディーソープより石鹸派さんから頂きました。ありがと。

あ:ボディーソープより石鹸派さん、ありがとね!

 

『二木さんはお風呂の時、どこから体を洗いますか? 私は右足です』

 

佳:足から? 私は――

佳:……。(もぞもぞ)

あ:……。

佳:…(もぞ)

佳:左腕からね。

あ:…………。

佳:……な、なんですか?

あ:い、今のかなちゃん、かわいかったーっ!

あ:かなちゃんね、もぞもぞと体を洗うふりをしながら考えてたのよー!

佳:なっ、あ、あーちゃん先輩っ!?

あ:見てた感じだと、左腕、右腕、そのあと下の方からおっぱ――

佳:――――っっっ!!

あ:もごごんご、もご、もごごごーっ(かなちゃん、口、押さえないでーっ)

佳:はぁはぁはぁ! こ、言葉に気をつけてくださいっ!

あ:ごめんごめん、ついつい。

佳:あ、危うく放送事故になるところですっ。

あ:まぁその反応だけで十分なんだけどね~。次、いきましょか。

 

佳:ラジオネーム・時をかけない少女さんから頂きました。ありがと。

あ:時をかけない少女さん、ありがとね!

 

『奥華子さんの曲ばかり聞いていたら気分がへこんでしまいました……どうしたらいいでしょうか?』

 

佳:マキシマムザホルモンで中和すればいいわ。

あ:……。

あ:かなちゃんってさ。

佳:なんですか?

あ:料理に塩入れすぎたら、砂糖で中和しようとするタイプ?

佳:そんなこと考えるのはあーちゃん先輩くらいですっ!

あ:え、うそ!?

佳:はぁ…次。

 

佳:ラジオネーム・筋肉革命さんから頂きました。ありがと。

あ:井ノ原君、いつもマメねぇ。

あ:もしかして…フフフのフ。

佳:?

あ:井ノ原君、かなちゃんにホの字だったりして。

佳:絶対嫌。

佳:次。

 

佳:ラジオネーム・佐々美さま親衛隊隊長さんから頂きました。ありがと。

あ:あー、あの娘達のお一人ね。ありがとー!

 

『わたしはいつもSS美様のそばから一時も離れずSS美さまをお守り慕っております。

どれくらい敬愛しているかというと、後ろを歩いたときのSS美様からほのかに流れてくる匂い…嗅いでいるだけで頭が溶けて失神しそうになります!

あとソフトボールの後のSS美様の真珠のような汗っ! はぁぅ…すぐにわたしのタオルでふいてあげます! 丁寧にじっくりと撫で取るように拭きとってさしあげます。あ、わたしのことなんて二の次でSS美様の後にそのタオルで拭きます。

それっっっっくらいSS美様を敬愛して止みません!

けれどあのSS美様の敵、にっくきR・Nッ!!

力をつけてきて、近頃では女神SS美様を打ち負かすことがあります!!

打ち負かすとアイツはSS美様の神聖なる靴下とかを奪っていきやがるんです!!

けどそのとき、わたしは、わたしときたら……

屈辱に打ち震え涙目のSS美様が、無理やり宿敵R・Nに、そのおみ足から靴下を脱がされている様子を見ていたら……わたし……わたし……ああっ、もう辛抱たまりませんっっっ!! はーっすはーっすはーっす!! 

敬愛するSS美様が屈辱に耐えていらっしゃるのに、わたし、おかしくなってしまったのでしょうかっ!?!?』

 

佳:最初からおかしいようにしか思えないんだけど。

あ:世の中にはまだまだ知らない世界が広がってるみたいねぇ。こういうのってアブノーマルっていうんだっけ?

佳:私に聞かないでください……。けど彼女、周りにアブナイ人ばっかりいるわね……。

あ:時間的に次で最後?

佳:そうですね。ラジオネーム・ねこねこにゃんにゃんさんから頂きました。ありがと。

あ:ありがとね~。

 

『大変だっ!! ウチの馬鹿兄貴がロリ・ショタ・ホモの三重苦に悩んでいるらしい! みおが言っていた。馬鹿ながら可哀想だ。どーすれば助けてやれるんだ?』

 

佳:救いようがないわ。諦めなさい。

あ:あー、けどきっと本人は悩んでないわよ?

あ:それにしても棗君、下にストライクゾーン広いわね~。

佳:本名出さないでください…。

あ:え、あっ、しまったぁ…。

あ:あっちゃー…ここ編集でピー入れておいてくれない?

佳:不可能です。これ、生ですので。

あ:え、うっそ!? ま、いっか。棗君だし。

佳:はぁ……。

佳:では、ねこねこにゃんにゃんさんからのリクエスト曲で今日はお別れよ。

佳:キョン妹で『妹わすれちゃおしおきよ』

あ:SEE YOU!

佳:また来週。

 

 

佳:はぁぁぁ…………――――。

佳:今日は異様に疲れた……。

あ:あら? 私は楽しかったわよ?

 

 

 

 

ネタ補足。

『腰痛戦隊☆コシサポーターズ!』

以下、サブタイトルw

 

 

第1話「駆け抜ける激痛!遅すぎたヒーロー」

第2話「年金ギリギリ!!ぶっちぎりの通院費!」

第3話「継続購入決定!飲めヒアルロン酸!」

第4話「灯台下暗し!?婿養子の卑劣な罠」

第5話「昨日のように鮮明!満州はいつもクリアビジョン」

第6話「思い出せない!昨日は何してた?」

第7話「忘却!朝飯はまだか!」

第8話「レッドはロリコン?18歳年下女性(61)との危険な恋!」

第9話「孫襲来!お年玉は2000円」

第10話「ブルー心停止!?孫の強烈一言」

第11話「孫じゃない!?振り込め詐欺の巧妙な手口!」

第12話「衝撃の真実!あの子は総入れ歯」

最終話「イエロー緊急入院!戦隊続行不能!」