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SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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スプリングハズカム・二章【涼宮ハルヒの憂鬱SS】

涼宮ハルヒの憂鬱 スプリングハズカム

スプリングハズカム・二章【涼宮ハルヒの憂鬱SS】

突然、長門から告白された!
しかもハルヒの目の前で!
オイ長門、お前何考えてんだよっ!
俺はいったいどうすりゃいいんだ!

 

 

次の日。
プリップリと怒っているハルヒを背に、自分の席に腰掛ける。
もし今のハルヒに、昨日の夜に長門からメールがあったことを話したら、俺はシャーペンでメッタ刺しされるだろう。
ちなみにメールの内容はこうだ。
『いまなにしてる?』
『ゴロ寝』
『そう』
以上だ。
ギネス記録に挑戦してるのではないかと思えるほどの短いやり取りだ。

一応、放課後までは普通の日常だった。
いつもと違うことと言ったら、ハルヒが珍しく教室で弁当を広げていたことくらいだ。
俺もたまにはハルヒの弁当に付き合ってやることにした。
ハルヒは最初こそ箸が折れるんじゃないかという勢いでミートボールを突き刺していたが、話しているうちに落ち着いてきたようだ。
最終的には「昨日のアレは長門のブラックジョークだった」で決定。
俺もそうであって欲しいと願ってるさ。

帰りのHRが終了し、俺とハルヒは教室を後にした。
部室へと足が向かうのは、まあ習慣なのだろう。
文芸部部室の前。『文芸部 with SOS団』と書かれたドアのノブを掴み、俺は生唾をゴクリと飲み込んだ。
思い切ってドアを開け放ったそこには――
文芸部部長兼宇宙人の姿はなかった。
「「はぁ……」」
微妙に二人でシンクロした溜息をつきながらいつもの自分達のポジションへと腰を下ろした。
コンコン。
続いて控えめなノック。
「どうぞ」と俺が返事を返すと「あぅぅ…」と朝比奈さんがキョロキョロと部室を見回し、引け腰で入ってきた。
やっぱり「はぁ……」という溜息つきだ。
その気持ち、よーくわかりますよ。
日頃の習慣のせいか、朝比奈さんはドアをチラチラと確認しながらもお茶を作っている。
お茶をすすり、徐々に平穏を取り戻しつつあるとき、古泉の奴が「遅れてしまいました」といつもに増して胡散臭いスマイルで登場。
「昨日は抜けてしまい申し訳ありません。突然の呼び出しを食らってしまって。バイトですよ」
聞いてもいないのに言い訳をしてやがる。
少しやつれたように見えるのは昨日のバイトが大盛況だったせいに違いないだろうな。
それから30分、長門がいない部室で俺たちの日常は戻りつつあった。
相変わらずボードゲームが死ぬほど弱い古泉に、俺に文句を叩きつけるハルヒ、ハルヒが飲み干した湯飲みにお茶を注ぐ朝比奈さん。
昨日のことが冗談だったのだと思い始めた頃。
カチャ…。
静かにドアが開くと、これまた静かに部室に入ってくる昨日の大騒ぎ事件の張本人・長門。
「「「「…………」」」」
誰もが無言で、自分のしていることを続行しているフリをしながらチラチラと長門の挙動を確認している。
長門はいつもの様に本棚から分厚いハードカバーの本を取り出すと、いつもの様に隅のパイプ椅子へと真っ直ぐに向かった。
心の中で大きく息を吐き出す俺。
「は、はあぁ…」
ハルヒなんかは普通に大きく息を吐き出している。
長門はいつもの様にパイプ椅子に腰を下ろ――――
「……」
――さずに、思いついたかのように踵(きびす)を反した!
すとんっ。
俺の横に腰を下ろし、
「あと323ミリメートルであなたと接触できる距離」
訳の分からんことを言って、何事もなかったかのように本を広げている!
………………。
ゴゴゴゴ…。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
感じるぞ! 凄まじい殺気というやつだッ!
実際窓側を振り向いてはいないが、今まで感じたどんな殺気をも超えている凄みを感じたッ!
エンジン音だけ聞いてブルドーザーだと認識できるようにわかった!
俺は壊れたオモチャのように首をギギギと動かし窓側に目を向ける。
「…………………………………………………………………………」
手に持ったマウスからメキメキ音してんぞ!
目で殺す、って言葉があるが…ハルヒの目はまんま字を見た通りの意味だ。
そろそろ目からビームでも出して世界を焼き払うんじゃないか……?
ピピピピッ…。
深海1万メートルに沈没した船の方がまだ賑やかであろうと思えるほど重い空気に包まれた教室に、古泉の携帯が無機質に鳴り響く。
もはや無理矢理にしか見えない古泉の笑顔がさらに歪む。
「あ~ら古泉くん。彼女からじゃない? あーあ、羨ましいわ。SOS団は桜満開ってところかしらぁ?」
これまた額に浮き上がった血管から血でも噴出しそうな引きつった笑顔のハルヒと、ハルヒの手の中で断末魔を上げるマウス。
「あ、あは、あはは、バイトの呼び出しのようです……」
「すっすみませんが……」
ジリジリと後ずさりながら古泉は部室を後にした。
頑張れ古泉。お前、昨日動きたいって言ってたろ。ちょうど良かったじゃないか。運動不足解消だ。
俺はこの後も地獄のような部室から動けないんだからな…。

その日は長門が本を読み終わり帰るまでは、朝比奈さんも俺も世界の猛獣展の檻の中に叩き込まれた子ヤギのごとく身動き1つ取れなかった。
もう泣いてもいいか?