#シチュ:葉留佳と佳奈多の誕生日。けど本当は佳奈多は二人っきりで祝いたかったのです!
#タイトル『ふてかな!』
「やーやー、みんなにお祝いしてもらってサイコーだったねっ」
夜、私とお姉ちゃんの二人部屋に入りながら私はそう言った。
さすがみんなデスヨ。
放課後から夜11時までノンストップですヨ、ノンストップ。
「……」
楽しかったのにもかかわらず、お姉ちゃんはどこか虫の居所が悪そうだ。
「あの真人くんと謙吾くんの筋肉ミュージカルなんて夢に出そうだったよね、お姉ちゃん」
「……ふん」
お姉ちゃんは部屋に入るなり、無言で機嫌悪そうにベッドにボフンッと腰を下ろした。
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「…なんでもない」
お姉ちゃんは思っていることが顔に出やすい。
明らかに『なにかありますよー』という顔だね、こりゃ。
「お姉ちゃんってば」
「…なんでもないわよ」
ぷいっ、とあさっての方向を向くお姉ちゃんなんだけど……こういうときは大抵かまって欲しいときの合図だ。
お姉ちゃんと一緒の部屋になってから初めてわかった。
……お姉ちゃんはかまって欲しい時ほど、こんなふうにツンツンするのだ。
「お姉~ちゃんっ、抱きつき攻撃だーっ」
後ろからギュッと手を回す。
「…」
ほらね。
私が手を回すとすぐにお姉ちゃんは、くてーっと私に身体をあずけてきた。
「ねぇねぇ、一体全体どうしちゃったの?」
「……ふん」
口を尖らせているお姉ちゃん。
「なんか私、いやなことしちゃった?」
「……」
「……」
お姉ちゃんがちょっと俯いたかと思ったら、小さく口を開いた。
「……今日はせっかく二人でお祝いしようって言ったのに」
「へっ!? あ…そういえば」
あちゃぁ……。
そういえばお姉ちゃん、そんなこと言ってワクワクしてたっけ!
「二人で誕生日ができると思ったのに、葉留佳ったら授業が終わったらみんなのところ行っちゃったし……」
「せっかく一緒に食べるケーキまで買ったのに……」
「奮発してシャンパンまでかったのに……」
ぷんっ、とほっぺを膨らませた。
「葉留佳は私なんかと二人より、みんなといっしょがよかったんだもんね」
あ。
うわぁ……だから部屋のテーブルの上には綺麗なお皿とグラスが二つ上がってたんだ。
「…ふん、だ」
すっかりふてくされモードになってしまっているっ。
「お姉ちゃん、今からでも二人でお祝いしよ?」
「もう12時になっちゃうもん」
時計を見ると確かにあと少しで13日も終わり間近だった。
「あ、けどまだ15分ありますヨ! だから、二人で一緒に乾杯して、一緒にケーキ食べよ?」
「…………」
あ。お姉ちゃんのモジモジが消えた。
あと一息ですネ、これは。
「私、お姉ちゃんと一緒にケーキ食べたいなー。あと、あーんとかもやりたいなー」
「…………ほんと?」
「ホントもホント、今日という日を二人だけで締めくくろうよ」
ね?とお姉ちゃんをキュッと抱きしめた。
「……」
「……うん」
嬉しそうに無垢な笑顔を溢すお姉ちゃん。
ウチのお姉ちゃんは学校を一歩出ると、こんなに甘えんぼ。
だけど、最高のお姉ちゃんだ。
普段はアイアンメイデンとか呼ばれていそうな佳奈多ですが、二人っきりになると甘えんぼモードに!
mはこんな佳奈多をギュッとしたデス(待てw