SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

Traffic Jam Products

112.お昼休みラバーズ(屋上のひと時編)

#シチュ:理樹と小毬は付き合ってまだ一週間。小毬はもうすっかり理樹君にべったりモードw

 

――抜けるような青空の中をわたがしみたいな雲が漂っている。

 屋上には今日もいい風が吹いている。

 

「理樹君、とっても美味しかったね」

「うん」

 僕と小毬さん。

 今日も二人で肩を寄せ合って屋上でお弁当だ。

「お弁当も食べ終わったし…」

 小毬さんが僕と自分の分のお弁当箱を包み込み、袋にしまう。

 それと同時に。

「えへへ~、じゃーんっ」

 袋からコアラのマーチが現れた。

「では、お待ちかねのお菓子た~いむっ」

「うわ…お弁当にホットケーキを食べてまだ食べるの?」

「のんのんのん」

「お菓子はね、別腹なのです」

 …ホットケーキはお菓子の内には入らないのだろうか。

「今日はね、ちょっと変わった食べ方しようと思うんだ~」

「変わった食べ方?」

「うん~」

 

――きゅっ

 

 僕が首を捻っていると、隣に座っている小毬さんが両手で僕の左手を抱きしめてきた。

「ふわぁ…理樹君ほわほわ~」

 しかも体をよじりながら僕の腕に押し付けてくるし!

「ふえぇ、準備おっけ~だよ」

「いやいや、オッケーって言われても」

 小毬さんの両手は僕の腕に回されている。

 なら、どうやってお菓子を食べようというんだろう?

「小毬さん、これだと……」

 横を見ると。

「えへへ、理樹君あのね」

「?」

「あ~~~んっ」

 まるでひな鳥が親鳥にえさをねだるように、小毬さんがパクパクと口を開けていた。

「もしかして、僕が食べさせてあげればいいの?」

「うん~」

「あ~~~ん」

 本当にひな鳥みたいだ。

「はぁ、もう……しょうがないなぁ」

 こんなに嬉しそうにしてるのに、断るなんて出来ないよね

「――はい、小毬さん」

「ぱくっ……もぐもぐ、こくん」

「ありがと~、理樹君~」

 幸せそうな顔で、僕の二の腕に頬をスリスリとしている小毬さん。

 ついつい僕の手はそんな小毬さんの頭を撫でてしまう。

「じゃあね…」

「次は理樹君の番だよ」

「えええーっ、僕もやるの!?」

「当前なのです。はい、私の腕にぎゅ~って」

「そこからっ!? って、勝手に僕の手を回さないでよーっ」

「はやく~」

「う…」

 付き合いはじめてから、小毬さんがどんどんワガママになっていく気がするけど…。

 ついつい許しちゃうんだよね。

 

――そんなことをしている間に、始業ベル10分前になった。

「小毬さん、そろそろ教室に戻らないと」

「ふえぇ?」

 なぜそこでキョトンとするのかがわからない。

「教室に戻らなきゃ」

「ちゅ~」

 突然、よくわからない返答が帰って来た。

「え?」

「まだね、ちゅーしてないもん」

「ちゅ~」

「……」

 まさか…。

「ちゅーしないと戻らない、ってこと?」

 

――コクコク

 

「ここは学校だしそういうことは……」

「ちゅ~、理樹君、ちゅ~、ちゅ~」

 口を尖らせて僕を待ってるしっ!!

「いや…ほら、ワガママ言わないで行こうよ」

「……ちゅ~ダメ?」

「うん、悪いけど」

 ……。

「うわぁ~~~んっ、理樹君がちゅ~してくれない~っ」

――ジタバタジタバターっ!

 小毬さんがダダをこね始めたっ!

「いやいやいやっ、駄々こねてもダメだからっ!」

「理樹君がちゅ~してくれないと勉強に身がはいらないのに~っ!」

――ジタバタジター!

 ちらっ

――ジタバタバターっ!

「うわぁ~~んっ、私、理樹君パワーがないと一歩も動けない~っ」

――ジタバタ~~~ッ!

 ちらりっ

――ジタバターっ!

「ちゅ~したい~っ!」

――ジタバターっ、ちらっ、ジタバタジタバターっ!

 …………。

 めちゃくちゃ僕の様子を伺いながらジタバタしていた。

「はぁ……わかったよ」

 そう言った瞬間、ピタリと動きが止まった。

「ほんとう?」

 小毬さんの顔が最高級デザートを見たかのように輝きを放っている。

 目からなんて本当にお星様が飛びそうだ。

「うわ~いっ」

「理樹君~」

「小毬さん、とっても可愛いよ」

「ふえぇ……」

 

 嬉しそうに口を向けてくる小毬さんに

 僕は優しく、待たせた分だけ長めのキッスをした。