SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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184.ホームルームでキス【プリズマ☆イリヤ百合SS】

#シチュ:冬休み明け。みんな学校に出てきたものの冬休みのぐーたらが抜けないようです。

15禁?くらいでお願いします(爆

 

 

 冬休み明けの朝の教室。

イリヤが机に道具を閉まっていると死ぬほど眠そうな雀花(すずか)と那奈亀(ななき)が寄ってきた。

「イリヤー……おっすー」

「おはよー、って二人共すんごい顔だね……」

「ついに……ついに……冬休みが明けちまったな……」

三つ編みを柳の葉のように落とした雀花がクイとメガネをあげる。

今日から学校だというのに相当夜更かししたのだろう。目の下にはクマだ。

「朝日がまぶしい……目が……目が開けられないな……」

「あは、ははは…」

那奈亀は元から目が細くて開いているかわからない、なんてツッコミはきっと野暮だ。

「静かだと思ったらタツコは?」

「ん」

雀花が親指でクイと指した方にイリヤが目を向けると。

 

(∵)

 

「…………なにあのこけし…………」

「ああ……冬休みが明けたショックでな……意識が戻ってこないんだ……」

雀花の目は可哀想なモノを見る目になっている。

「あれ、口元がぼそぼそ動いてない?」

那奈亀に言われ耳をそばだてると……

 

「…………サイレンナー……ホリーナー…………」

 

「山下達郎だ!! 山下達郎を歌ってやがる!!」

「うわー……意識がクリスマスまで戻ってるね……」

そっとしておいてあげよう。

みんなの目はそう語っていた。

「イリヤ、美遊(みゆ)はどうしたのさ?」

「海外旅行だってさ。明日には帰ってくるみたい」

「ふーん……」

「…………」

「…………」

「…………」

「こいつはメチャゆるさんよなああああ!!」

「雀花おちついてーーーっ!」

そんな喧騒の中、

「……くー……くー……むにゃむにゃ……」

クロだけはイリヤの隣の席(二人の席は隣同士くっついている)で寝息を立てていた。

 

――キーンコーンカーンコーン

 

「はーい、みんなおはよー! 朝の会を始めるから席についてーっ」

「は~い……またなイリヤ」「じゃあねー……」

みんながよろよろと席へと戻っていく。

「冬休みは楽しかったかなーっ! 先生はね! 一人で初詣に行ってきたよーっ!」

「(ちょっとクロ、起きてよ。先生がきたよ)」

くっついている隣の席の住人――クロの肩を揺するイリヤ。

「……くー……もうたべれない……」

「(なにマンガみたいなこといってるのさっ! 早く起きようよっ)」

 

ユッサユッサ。

ゆっさゆっさゆっさゆっさ。

 

「……ん……」

寝ぼけた様子で体を起こしたクロ。

「(ようやく起き……)」

「……ぽえー……」

ぽえーっとした顔でイリヤを見つめていたクロだったけど、その腕がイリヤの首に回された。

「へっ?」

「……食後のデザート……ちょうだい……」

「ク、クロ、な――」

言葉を言い終わらないうちに。

 

――ちゅ~っ♪

 

「!?!?」

クロの唇とイリヤの唇がくっついていた!

しかも軽めなんかではなく、割としっかり。ぶちゅーっと。

まるで教室は液体窒素に叩きこまれたような静けさに包まれ、

「みなさーん、冬休みの間は間違っても不純異性交遊なんかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか」

ガン見してしまった大河先生は盛大にバグった!! オーバーキルだ!!

その間も寝ぼけたクロは止まらないっ!

「……ん……舌……イリヤの舌ぁ……いつもみたいに……」

 

――ちゅ~、ちゅぷっ。ちゅぅぅぅぅぅ

 

「クロ、ちょ、ぁんっ、強いよっ…んんっ!?」

バグった大河が「かかかかか」言っている教室内に水っぽい音が響くっ!

 

――ちゅぷん♪

 

「……むにゃむにゃ……ごちそうさま……くー……」

「って、また寝るんだ!?」

…………。

……。

じゃなくてぇぇぇぇぇぇぇっ!!!

イリヤから全ての血が引いていき、顔が青から白へと変わっていく。

恐る恐る教室を見回すと……。

 

みんな、過激なエッチな動画を見てしまった時のような火照った顔でイリヤのことを見ていた!!

 

「あの、こ、これは……クロが寝ぼけてっ!! そう、壮大に寝ぼけてっ!」

「壮大に寝ぼけただけでキスはしないでしょ。なんか慣れてたし」

と那奈亀。

「ななななな慣れてるわけないよ!? あんなのわたしも初でビックリだよもうビックリだよっ!! 本当クロには困っちゃうよね!ははっ!」

「いつもみたいに、ってクロが言ってたなぁイリヤ」

と雀花。

「いつもはもっと軽めだからっ!」

………………。

…………。

……。

 

「あ。」

 

「じゃなくてぇぇぇえぇぇーーー!!!」

「「「「きぃぃぃぃゃぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!」」」」

教室が黄色い声に包まれたっ!!

「いつもキスしてるんだっ!! してるんだっ!? 女の子同士でてるんだっ! いつもどんな感じでしてるのっ! 気持ちいいの!? 気持ちいいっ!? きゃぁぁぁぁ~~~~んっ!!」

いつもは影が薄いミミちゃんも興味津々だっ!!

「きょきょきょきょきょきょきょきょ教室でなななななんてことしているのよ!! 不純異性交遊は……あれれ?同性だからいいの? もうどっちでもいいけど私もそんなディープなキスされてみたいわよぉぉおぉおぉんっうあぁあぁあぁんばかーーーっ」

「マズイ!! タイガーが赤ちゃんみたいに泣きだしたぞっ!?」

教室は「私もキスしたいーーーっ!!」とか「女の子同士でもいいじゃんっ!!」とか「むしろ女の子同士がいいじゃん!!」とか「生徒に先を越された……生徒に先を越された……生徒に先を越された……生徒に先」と阿鼻叫喚に包まれていた!!

 

――ポムっ。

イリヤの肩が叩かれた。そこにはメガネを光らせる雀花だ。

「……美遊が旅行中で本当によかったな、イリヤよ」

ビクゥッッッ!!!

 

――ポムっ。

イリヤの肩が叩かれた。そこには細い目を更に細める那奈亀だ。

「……もし見られてたら……十七分割くらいされてたね、イリヤ」

ビクゥッッッ!!!

 

見られていなくて本当に良かったと思うイリヤであった。

 

で、今回のオチ。

(∵)「…………サイレンナー……ホーリーナー…………」

「この騒ぎで微動だにしないなんて、タッツンってホントすげぇよな……」