「――シャッターのセルフタイマーはこれでよし、と」
「記念撮影するのに、全員都合つかなかったっていうのも……」
「まあ、リトルバスターズは基本自由だからな」
10人いるんだから、一人くらいつかまってもいいのに。
結局集まったのは僕と恭介の二人だけ。
リトバスメンバーはフリーダムすぎる気がするよ…。
――ぽん。
僕の頭に恭介の温かい手が。
「そんなしょぼくれた顔するなよ」
「あいつらが羨ましがるほどいい写真を撮ってやろうぜ」
「そうだね」
「OK。そうと決まれば」
恭介が屈んだ。
「どうしたの、恭――」
――がばっ!
突然、恭介が僕を、僕を、僕を…。
「お姫さまだっこーーーっ!?!?」
「ご明察。お姫さまだっこだ」
「いやいやいや、ご明察も何もまんまだからっ! ちょっ、お、おろしてよぉっ」
「おっと、そんなに暴れると落ちちまうぜ? お姫さま」
「お姫…って、いや、け、けど…………う……」
落ちるのも怖いし…。
恭介の顔を見つめると。
「……」
優しげに微笑んでいた。
「…お、落さないでね…」
僕はそっと恭介の首に手を回した。
「ほら、理樹、カメラにおまえの笑顔を見せてやれ」
「……うん」
――パシャ。
「……」
「……」
「恭介、もう撮り終わったしおろし――」
おろして、と言うまでの一瞬の出来事。
――ちゅっ。
ほっぺたに温かい感触。
「え…恭…介…?」
恭介を見ると真っ赤になってそっぽを向いていた。
「いや、そのな」
「おまえがあんま可愛いからさ……つい、な」