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SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

Traffic Jam Products

145.スゴロクでスゴいやリトルバスターズ!(前編)

#家庭科室で、いつものリトバスメンバーが恭介考案のスゴロクをやるようです。

 

「よし、揃ったな」

 恭介から『これからゲームをする。家庭科部の部室に集まってくれ』というメールをもらってから30分。

 家庭科部室にはいつものメンバーが顔を揃えていた。

「理樹、おせーぞっ」

「そーだそーだっ、おそーいっ」

「ふむ、キミが一番遅いとはまた珍しいな」

「てっきりリキも晴れ着でいらっしゃるかと思ったのに残念でなりません」

「ごめんごめん…って、え!?」

 家庭科部の部室で畳に腰を下ろしている女性陣に目を向けると……みんな振袖だ!

 ピンクや白、花柄の振袖が家庭科部室を彩っている。

 

 髪型なんかも普段とは違う。

 来ヶ谷さんや鈴は髪をまとめ、葉留佳さんのように片側に一本に結っていて普段とは違う雰囲気だ。

 クドは髪をまとめ、後ろでくしゅくしゅとまとめていて可愛らしい。

 葉留佳さんと西園さんはそのままだけど、花のアクセサリーで飾り立てている。

 小毬さんは……えーっと、カチューシャかな?

 花だらけのカチューシャが頭に乗っていて、歩く花瓶みたいになっちゃっている…。

 

「「「「「「あけましておめでとーっ」」」」」」

「あ、あけましておめでとう」

 うやうやしく頭を下げるみんなに、僕もついつい手を着いて挨拶。

「――みんな晴れ着まで着ちゃってるけど、今日は一体何をするの?」

「よくぞ訊いてくれた」

 恭介(まさかの羽織袴だ)がクールな笑みを浮かべながら紙のようなものを広げた。

「……長い半紙ですね」

「馬鹿兄貴のことだ。どーせろくなことはしない」

 さらに書道セットが現れた。

 これってまさか…。

「年初めだしな。こうしたほうが雰囲気出るだろ?」

 恭介が半紙に筆を走らせ始めた!

「オーケー、上出来だ!」

「全員注目!」

 書いた半紙をバッと持ち上げた。

「第一回、スゴロクでスゴいやリトルバスターズ!」

「はい拍手~」

 …ぱらぱらと拍手が上がる。

「ヒャッホウ!」

 飛び上がるほどテンションが高い剣道少年が約一名。

「ふえぇ、すごろく?」

「ああそうだ。みんなですごろくをしよう」

「んだよ、スゲーのやるかと思ったらただのスゴロクかよ」

「そう早るなよ、真人」

「今日やるのはただのスゴロクじゃない」

 恭介が僕らの前に手作りっぽいスゴロクを広げた。

「めちゃくちゃフツーのすごろくに見えますヨ」

 葉留佳さんの言うとおり、見たことがあるようなマス目が並んだスゴロクだ。

「マス目も恭介さんの手書きなのですー。えーっと…『次の順まで隣の人とほっぺを離してはいけない』…ですか?」

「……何やら不穏当なメッセージですね」

「ほう…」

「どうやら西園と来ヶ谷は気付いたようだな」

「このスゴロクのルールは簡単だ」

「サイコロを振り、出た目だけコマを進め、ゴールに一番に辿り着いた奴が優勝だ」

「ただし」

 言葉を止めた恭介がみんなを見渡した。

「止まったマス目の内容は実際に実行すること」

「「「「ええーっ!?」」」」

 その言葉を聞いて数人を省いたみんなも飛び上がった!

「恭介っ、実行するってこのマス目の内容!?」

「そ」

「ひやー…ここなんて『一番年上の人にお兄ちゃんと呼びながら走って抱きつく』って書いてますヨっ」

「そんなのやるくらいなら死んだほうがマシだっ」

「……悪いことばかりではないようです」

「あ、こっちは『カントリーマアムを3枚プレゼント』だってー。私、がんばっちゃいますよ~」

「……こちらは『今日一番遅れてきた人とサランラップごしにキス』です。チラッ……ぽっ」

「ブフッ!?」

 一瞬だけど全員のギラギラした目が僕に向いた!!

「ま、そういうことだ」

「年始だからな。今年初めの運試しを兼ねたゲームだと思っていい」

「早速始めたいと思うが、おまえら準備はいいか?」

「「「「「「おーーーっ!!」」」」」」

 

 

「最初はオレからだなっ! 筋肉系で男らしい内容で頼むぜっ」

 トップバッターは真人だ。

――コロコロ。

「井ノ原さん、3がでましたっ」

「1,2,3、と。なになに…」

 みんなが真人が止まったマスに注目する。

 

 『次の順まで赤ちゃん言葉を使う』

 

「うおぉーーーっ!? 筋肉でも男らしくもねぇっ!?」

「ぷぷぷーっ、真人くんが赤ちゃん言葉だってーっ」

「ほらほら真人少年、どうした? 早く赤ちゃん言葉で話せ」

「わかったよ。やりゃーいいんだろ」

 真人が大きく息を吸い込んだ。

 全員の注目が集まる中、真人が……天高く吠えた!

 

「ハァーーーイ!! チャァァァンッ!!」

「バァァァァァァァァーーーブゥッゥゥゥゥゥゥーーーーーッ!!!」

 

 これは……!

 ノリスケさんちのイクラちゃんだっ!!

「わふーっ!? 筋骨隆々なイクラちゃんなのですーっ!?」

「チャァァァァーーーンッ!!」

「ほわっ!? イクラちゃんが腕立て伏せはじめたっ」

「こわっ!? くっちゃくちゃこわっ!!」

「タエコさんが育児放棄するだろ…こんなイラクちゃんだったら」

「ハァァァイッ!! タァァァイ!!」

「恐怖映像だな……」

「僕も謙吾と同感だよ…」

「そんな薄気味の悪いのは放っておいて、次は私の番だな」

 奇声を発しながら腕立て伏せをしている真人を無視し、来ヶ谷さんがサイコロを振った。

「ふむ、6か」

 6だと…えーっと。

 

 『コタツに入る。1回休み』

 

「……」

「うわ、普通なのが出たね」

「地味ですネ」

「……いえ、晴れ着でコタツというのはある種罰ゲームかもしれません」

「…恭介氏、これはコタツに入って何かをすればいいのか」

「ただコタツに座ってくれ。あと一回休みな」

「……」

 しょんぼりとコタツに座る来ヶ谷さんはどこか可愛い。

「次は俺の番か。女と何かをするのは避けたいところだな」

 続いて謙吾の番だ。

 なんで僕の方をチラ見したんだろう?

「ふんっ!」

 無駄に気合を入れてサイコロを振った。

「1か」

 そこに書かれていた言葉は…。

 

 『一番年上の人に「お兄ちゃん♪ 大好き♪」と気持ちを込めて言う』

 

「……」

「……」

 謙吾は真っ青だ。

 ついでに作った恭介本人はもっと青ざめている。

「こまりちゃん、こーゆーのは何ていうんだ?」

「たぶんね、自業自得だよー」

 僕もその通りだと思う。

「恭介」

 謙吾が意を決したように、恭介の方を向いた。

「宮沢さん、がんばってくださいーっ」

「あ、ああ」

 声援を受け、謙吾がカラカラに乾いた口を開いた。

 呼ばれた恭介は冷や汗ダラダラだ!

「お…おに………っ、おにい…………」

「……無理だ、俺には言えんっ」

「……ほう、100戦無敗の宮沢さんが敗北宣言ですか」

「っ!?」

 西園さんの言葉で謙吾に火が灯った!

「そうだったな…俺は……俺は絶対に負けんっ!!」

 謙吾が気合で謙吾を正面から睨みつけた!

 そして――ほっこりと微笑む!

 

「お兄ちゃん♪ だぁい好きっ♪」

「うぎゃああああぁぁぁーーーっ!!」

 

 耳を押さえて悶絶する恭介!!

「ザラキだろ今のっ!!」

「ドラゴンクエストの死の呪文だよね、それ…」

 自分で作っておきながら、男が止まることを想定してなかったんだろうなぁ…。

 

「ようやく出番だコンチキショーっ、バンバンジャリジャリ振っちゃうぞーっ」

「はるか、振るのは一回だけだぞ」

「わかってるわかってるー」

「えいしゃらーっ!」

 葉留佳さんが出した目は5だった。

「んー、5はねー…」

 

 『左隣の人を膝枕してあげる』

 

「左隣の人かぁ」

 葉留佳さんの左隣の人ねえ。

「「あ」」

 左を向いた葉留佳さんと、右を向いた僕の目が合った。

 そっか。僕が葉留佳さんの左隣の人だっけ。

 葉留佳さんって意外と恥かしがり屋だし、大丈夫かな?

 じゃなくてええええっ!!

「ええええぇぇぇーーーっ、り、り、理樹くんを、ひ、ひ、ひ、膝枕っ!?」

 真っ赤になって手をパタパタさせている葉留佳さん!

「なにぃ!? 羨ましすぎるぞ、葉留佳君! 今すぐ私と交換をしろ!」

「来ヶ谷はコタツで一回休みだろう!? ここは俺が代わってやろう! こいっ!!」

「宮沢さんの目がいつになくギラギラしているのです!?」

「ハァーーーイッ!! ハァァーーーイッ!! ハァァァイッ!!!」

「うわぁぁんっ、イクラちゃんがこわいーっ」

 そんな喧騒も周りで巻き起こっている!

 けど僕としてもそれどろこじゃないっ!

「ぼっ、僕もやっぱり女の子にそういうことをしてもらうのはっ」

「そ、そうですよネ! じゃあ、じゃあ、今のはその、ノーカンってことでー」

「ダーメ」

 恭介から無情にも却下の言葉がっ。

「嫌だからといって無しにしたら先に実行した奴らが可哀想じゃないか」

「バァブッ!!! バァブゥ!!」

 真人も怒っている(ようだ)!

「うううぅ…わかりましたよーだ…よーだ…」

 葉留佳さんが晴れ着姿でモゾモゾと正座を作る。

 ここは僕も、葉留佳さんのテンションに合わせてノリでやるしかないっ!

「…………その、り、理樹くん」

「な、なにー?」

 僕がいつもの葉留佳さんのテンションに合わせようとトーンを上げて葉留佳さんを見ると。

「ひゃっ!?」

 真っ赤になった葉留佳さんが肩を縮めてそっぽを向いた!

「……その……そのね……もごもごもご」

 うわわっ!

 いつものテンションで来てよっ!

 そんな反応をされるとやりづらいっ!!

 そう思っていると、葉留佳さんがまたこっちを向いた。

 真っ赤顔は笑顔なんだけど、固まったような笑顔だ!

「や、やはははー、り、理樹くん、わ、わたしのヒザにさ、ほら、お、おいでー」

 ペチペチと綺麗な着物に包まれた自分の太ももを叩いている。

 周りからも「…かなり無理をしていますね」とか「私ならもっと上手くやれるぞ!!」とか「理樹、まっかっかだぞ」とか聞こえてくる。

 ううう…。

 は、葉留佳さんが無理していつものテンションを出している今しかチャンスはないっ!

「あ、あははー、じゃ、じゃあ、その…い、いくよ」

「う、うん…お、おいで」

 ゆっくりと葉留佳さんの方へと体を傾ける!

「はぅぅうぅ…」

 葉留佳さんなんて両腕をすぼめ、体をカッチカチにしている。

 顔なんてトマトみたいで、目はあさっての方を向いている。

 ……絶対僕も真っ赤だけど。

 

――ぺとっ

 

 ついに頭が葉留佳さんの太ももにくっついた!

 その瞬間!

「ひゃぁんっ!」

 全身カッチコチにした葉留佳さんの体が電気を受けたネコの様に震えた!

 僕はすぐにバネ仕掛けの人形の様に飛び起きた!

「ひ、ひ、膝枕しちゃったね、葉留佳さんっ!」

「そ、そうだねっ、しちゃったねっ! こ、これでクリアーだよねっ!」

 真っ赤な顔で何度も頷きあう僕たち。

「わふー…なぜ2人ともそんなに息が上がってるのですか?」

「顔まっかっかだぞ、2人とも」

 不思議顔のクドと鈴、そして後ろは「ええい!! もう座ってられるか!! 私も理樹君と!!」とか「……いえ、ここはわたしが」と大騒ぎだ。

 

「ま、次は俺の番か」

 次は恭介がサイコロを振る番だ。