#小毬のシチュを真人でもやってみたくなった(核爆
――校舎と木々の間から、うっすらと青空が覗いている。
裏庭は今日も人通りは皆無で…少しかび臭い。
「理樹、メシにしようぜ!」
「なんでわざわざこんなところで真人と二人でパンを食べなきゃならないのさ……」
「いいじゃねぇかよ、なんせ二人っきりなんだしよ」
ぶっちゃけ、良くない。
古ぼけたベンチに男二人肩を寄せ合ってパンを食べる光景…絶対アブナイ様子に映ると思う。
「お、そうだ!」
ニカッと白い歯を覗かせる真人。
「理樹、あれやろうぜ!」
「あれって?」
「だからよ……コホン」
「アーーーンッッッ!!」
突然真人が僕の横で大口をガバリと開いた!!
まるで…まるで、プテラノドンが獲物を狙っているかのようだ!!
「うわぁぁぁっ!?」
僕はあまりの恐怖にベンチから飛びのいた!
「ま、まままま、真人、な、なにしてるのっ!?」
「アーーー…何って見りゃわかんだろ?」
いや、わかんないから聞いてるんだけど。
「よく恋人達がやってんだろ、あーんってよ。アレに決まってんだろ」
……。
てっきりサメかワニか寄生獣のマネかと思った…。
「……つまり、僕が真人の口にエモノを…じゃなくて食べさせてあげればいいの?」
「おうよ! そのカツサンドを頼むぜ!」
「わ、わかったよ」
ここで断ったら、僕が食べられそうな気さえする!
「い、いくよ」
「来な、アーーーンッッッ!!」
僕は恐る恐る、真人の口へとカツサンドを近づけた。
――バツンッ!
真人がギロチンのごとく口を閉じると、瞬時にしてカツサンドの4分の3が失われていた!
あと少しずれていたら……僕の手がカツサンドのようになっていたかもしれない。
「…………」
「どうした理樹っち、そんなに青い顔してよ?」
「……」
「にしても、こういうことを言うんだろうな」
真人が遠い目をする。
「――『幸せ』ってよ」
『恐怖』って言うんだと思う。
――そんなことをしている間に、始業ベル10分前になった。
「真人、そろそろ教室に戻らないと」
「ハァ?」
なぜそこでキョトンとするのかがわからない。
「教室に戻らなきゃ」
「うっ…!?」
突然真人が胸を押さえて苦しげにうめき始めた!
「真人、どうしたの!?」
「ぐっ……やべぇ、きや…がった…」
「どうしたのさっ!? 大丈夫!?」
「あ、ああ…なんとかな…こいつは…ぐはァっ!!」
「真人っ!!」
「ほら、ベンチに横になって!」
慌てて真人をベンチに寝せて、その厳つい手をしっかりと両手で包み込む。
「理樹…ついに始まっちまったみてぇだ…オレの持病が!」
「持病!? 真人のくせにそんな厄介な病気にならないでよっ!」
「心配すんなって理樹…治す方法は知ってるかんな…」
「それには……グハッ……おめぇの協力が必要だ……」
僕の手に力が込められる。
「うん、僕、なんでもするよっ!」
「マジかっ!?」
「うん」
「実はな…病名は『理樹がちゅーすれば治る病』っつう厄介な病気でよ」
「治す方法は、理樹がちゅーしてくれる以外にねぇ」
「だからよ――」
「ごめん、真人。僕もう教室に戻るね」
「うおっ!? 理樹、なんでもするっていったじゃねぇかよっ!!」
「あー…無しってことにしてよ」
「うおぉぉぉーーーっ!! 理樹がちゅーしてくれねぇぇぇーーーっ!!」
――ジタン!バタン!!ジタン!!バタァァァンーッ!!!
真人が地面に寝そべって暴れ始めた!!
「そんなことするわけないでしょっ!!」
「理樹がちゅーしてくれねぇと勉強に身が入らねぇんだよぉぉぉーーーっ!!」
「いやいやいや!! いつも授業中はフルタイムで爆睡してるじゃんっ!!」
「くそぉぉぉーーーっ!! オレ、理樹パワーがねぇと一歩たりとも動けねぇぇぇーーーっ!!」
――ジタン!バタン!!ジタン!!バチコォォォォォンーッ!!!
「いやいやいやいや! すでに暴れまくって、ベンチなんてあんなところまで吹っ飛んでるからっ!!」
「ちゅーーーしてぇぇぇーーーっ!!!」
「うわわわっ! 薄気味悪いこと言わないでよーーーっ!!」
「うおっ!? 理樹、待ってくれぇっ!? 理樹、理樹ぃぃぃぃぃーーーー……――」
僕は、親友をその場に置き去りにし、走り去った……。
小毬ちゃんと同じシチュエーションです…。
なぜキャラが変わるだけで、これほど身の毛のよだつ話になるのでしょうw
食後のデザート。
それは……
おまえだぁぁぁーーーーっ!!