SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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103.かなちゃんは甘えんぼ!

 

 

 #ふいに理樹と佳奈多のカップリングを書きたくなりましたw

 #佳奈多と理樹は付き合っているけど、誰も知りませんw

 

 

 ケース1:寮長室にて。

「――じゃあ二人とも、わたしは用事で先に帰るけど、残った仕事頼んだわよ」

 寮長(あーちゃんと呼べって言われたけど、言いづらいよね…)が扉から顔だけだして僕と佳奈多さんに仕事を伝えた。

「「わかりました」」

「あ、それとかなちゃん」

「なんでしょうか?」

 イジワルそうに寮長の口元が歪む。

「直枝くんをいじめちゃダメよ」

「仕事が出来さえすれば注意はしません」

「もう、かなちゃんはいつもそうなんだから。そろそろ慣れた頃なんだし優しくしてあげればいいじゃない」

「お断りします」

 キリッとした鋭い眼光を寮長に向けて両断。

 うわ…。

 いつもの『外用佳奈多さん』の顔だ…。

「はぁ…直枝くん、こんなかなちゃんだけど根はとってもいい子だからよろしくね」

「あはは……」

「あーちゃん先輩!」

「ごめんごめん――じゃあ、わたしはもう行くからね」

「二人とも、仲良く頑張ってね」

 

 ドアが閉められ、教室は僕と佳奈多さんの二人きりになった。

 長机に二人並んで座っている。

 これくらいなら…30分も頑張れば終われそうだ。

 佳奈多さんもそう思ったのか、真剣に書類に向き合っている。

――カリカリ

   ――カリカリ

 しばらくの間、書類にペンを走らせる音だけが教室に響いていた。

 だけど。

 

――ぺち。

 

 ん?

 ほっぺに何か当たった…?

 手元を見ると、白い小さな粒が転がっていた。

 なんだろ?

 気になりつつも、仕事を再開。

 

――ぺち、コロコロ。ぺち。

 

「……」

 

――ぺち。ぺち。

 

 ……僕の横から、何かが飛んできては僕のほっぺに当たっている。

 手元にはいくつか消しゴムを小さくちぎった欠片。

 付き合い始めてわかったんだけど。

 佳奈多さんってイタズラ好きなんだよね…。

 さすが葉留佳さんと双子だけはある。

「…佳奈多さん」

 佳奈多さんの方を向くと。

「なに?」

 ……。

 まったく何事もなかったように仕事してるし!

「…消しゴム飛ばしてきてるでしょ?」

「知らない」

 僕をチラリとも見ずに書類を書いている。

「ほら、手を休めてないで仕事に戻りなさい」

「はぁ…」

 溜息をつきながら書類書きに戻ると、すぐに。

 

――ぺち。ころころ。ぺち。ぺちん。

 

「……」

「……」

 

――ぺち。ぺち。

 

「……~~~~」

 

――ぺち。ぺち。ぺちん。ぺちぺち。

 

 ~~~~っ!

「佳奈多さんーーーっ」

「なによ?」

 なんか嬉しそうな顔してるしっ!

「わかったよ」

「佳奈多さんがそういうことするなら、僕にだって考えがあるんだから」

「へぇ、どうする気?」

「えいっ!」

 手元に転がっている消しゴムの粒を佳奈多さんに投げた!

 

――ぺちんっ

 

「ゃっ!?」

 見事佳奈多さんのおでこに命中。

「お返しだよ」

「……」

「……ふーん」

 佳奈多さんが手を動かした。

 その途端。

 

――ぺちっ

 

「わっ、わわわっ!?」

 消しゴムの粒が首に当たってコロコロと体の中に転がり込んだっ!

「お返し」

「……」

「……」

「……」

「……」

 見詰め合うこと10秒。そして投げあい勃発。

 

「えいっ!」

「ちょっと直枝っ、服に入ったじゃないっ」

「お返しだからね」

「ふーん、なら」

「うわわっ!? 佳奈多さん、耳、耳に入るからダメだよっ」

「いいじゃない、直枝耳弱いんだし」

「ううぅ…ならっ」

「きゃっ、えいっ!」

「うわっ…鼻はダメだよっ、へっくしゅっ!」

「なかなか狙うのが難しいのよね……このへんっ!」

「ちょっ…なら僕も、やっ!」

「ゃぁっ! もうこれでも食らいなさいっ!」

「うわわっ! そんなに投げてこないでよーっ」

 

 …………。

 ……。

 

「――消しゴムがなくなっちゃったわね…」

「そりゃこんだけ投げあえばね…」

「……直枝、消しゴム貸して」

「ごめん、ダメ」

「けち」

 拗ねられても困るけど。

「佳奈多さん、髪の毛に消しゴム着いてるよ」

「…とって」

 さっきまで離れて座っていた佳奈多さんが僕に体を寄せて座る。

 横に座った佳奈多さんの方に身を向け、指どおりの良い髪に手を通す。

「うわ…いっぱいついてるよ」

「くすぐったい」

「ほら動かないで、今とるから」

 手を動かすたびに佳奈多さんが気持ち良さそうに身をよじる。

 

 普段は学校では鬼の委員長だとか鉄の委員長だとか言われている佳奈多さん。

 けど本当は。

 

「終わったよ」

「もっと」

「いや…もっと、って言われても」

 

――すごい甘えんぼだ。