SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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87.理樹と恭介 ~芽生え編~

 

 

 

 #シチュ:恭介がグラウンドに来ないので、理樹が恭介の教室まで迎えにいったようです。

 

 

「恭介ー、いる?」

 

――夕日に赤く染まる教室。

 

「あ…」

「……スゥ……スゥ……」

 

 恭介は机に突っ伏して気持ち良さそうに寝ていた。

 傍らにはマンガ本。

 きっとマンガ本を読んでいる間に寝ちゃったんだ。

 まるで子どもみたい。

 ついつい笑みもこぼれてしまう。

「恭介、もう夕方だよ」

 僕は恭介を起こそうと、恭介の机に近づいた。

「恭介」

「恭介ってば」

 顔を近づけて恭介を覗き込む。

「…スゥ…スゥ…」

「……」

 そういえば…こんなに近くで恭介の顔を見たのは、いつ以来だろう?

 少なくとも大きくなってからはないと思う。

 整った顔立ち。

 長めのまつ毛。

 サラサラな髪。

 それに、無邪気に寝ている恭介の顔は…

 

――どきどき…。

 

「………………」

 って!!

 僕は何をドキドキしてるのさっ!

 お、落ち着け…僕。

 気分を落ち着けよう。うん。なにかの間違いだよね。うん。

 もう一度恭介の気持ち良さそうな寝顔に目を向ける。

 

 …………。

 わ、かわいい。

 

 って、僕は何を考えているんだーーーっ!!

 だ、だ、だ、第一、恭介は男で、僕も男なんだっ。

 だから…だから、そんな、ときめくだなんて……。

 …………。

 ……。

 『ときめく』って何さぁーーーっ!

 なんでそんな単語が頭に浮かぶのさっっっ!

 

「スゥ……スゥ……」

 大体、僕と恭介は幼なじみだし!

「スゥ……スゥ……」

 兄弟みたいなものだし――。

「スゥ……スゥ……」

 男同士で――……。

 …………。

 ……。

 ゴクリ。

 見れば見るほど、恭介の寝顔に吸い寄せられる僕がいた!

 ……。

 キョロキョロ。

 誰も…いないよね?

 ……ぼ、僕達男同士だし……

 その……。

 ……。

 ちょっとくらい、恭介の顔を触っても…問題ないよ…ね?

 

 そろそろ…。

 

 ゆっくりと、恐る恐る恭介のほっぺたに手を伸ばす。

 

 ドキドキ…ドキドキ…。

 

「きょ、恭介…」

 ……あと5センチ。

 ……あと3センチ。

 ……あと…あと……。

 

「……ん、ふわぁぁ~~~っ」

 触る直前、突然恭介が目を覚ました!!

「どぅるうわうおうわぁあぁああぁあぁあぁぁーーーっ!?!?」

「うおっ!? 理樹、突然どうしたっ!?」

「エッ!? なななななななななんでもない、なんでもないよ、ぜんぜんなんともないからぁっ!!」

「いや…なんでそんなに必死なんだ…?」