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SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

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64.杉並さんが理姫ちゃんに話しかけたいようです

 

 

 #シチュ:杉並さんが学園中のアイドルとなっている理姫に話しかけたいようです。

(小ネタ・『お姉さん理樹』を理姫にしました。)

 

 

 

――お昼ご飯の時間のことです。

「ハァ!? 睦美、あんた自分が何言ってるかわかってんのっ!?」

「ひゃ…っ」

「高宮、そんな剣幕で詰め寄らない。怯えてるから」

「だって勝沢も聞いたでしょ!?」

 ビシッと私に指を差す高宮さん。

「この睦美がっ」

「あの『理姫さま』と話がしたい、だって!!」

「無理無茶無謀以外の何者でもないね」

「そ、それ全部だよぅ…」

 勝沢さんが咥え箸のまま頬杖をつく。

「『理姫さま』と言ったら、学校中のアイドル…ってそんな安っぽい言葉じゃ表現できないか」

「勝沢、それ理姫さまにそれ失礼だから!!」

 高宮さんが両手を合わせて、乙女の瞳で虚空を仰ぎ見る。

「理姫さまは純情可憐絶対可憐にして聖母のようなお心を持ったお方……」

「まさにあの方はこの世に降り立った唯一無二の女神よ……」

 そうだよね…。

 高宮さんの言うことは過言なんかじゃない。

 それくらい理姫さんは綺麗だし素敵だし、非の打ち所がない。

 私たちのクラスでも女神さまとか、えっと…ロサ…えっと、んと、なんだっけ…。

 とにかくすごい呼ばれ方をしてる。

「この高宮が例えてあげる」

「理姫さまが月のかぐや姫だとするなら、差し詰め睦美は」

 ニヤリと顔を近づける高宮さん。

「ミ・カ・ヅ・キ・モ♪」

「わ、私、ミカヅキモ…」

 スッポンにもなれなかった…。

「あんたが話しかけにいったら理姫さまが迷惑! 迷惑千万間違いなしっ!」

「ぅ…ご、ごめん」

「こらこら高宮、睦美をいぢめるな」

「私は睦美に非常なる現実を教えてあげただけなのだ」

 高宮さんの言うとおりだよね…。

「ま、理姫さまは色んな仕事も請け負ってるし、生徒会までやってるし…睦美と普通に話してる暇なんかないと思う」

「そ、そうだよ…ね」

 勝沢さんにまでダメ押しされちゃった…。

「そういえばあんた、今日日直でしょ? 昼休みに先生から頼まれごとなかったっけ?」

「あっ! 荷物運び頼まれてたの忘れてた…」

「さっさと行け行け」

「ったくホント睦美抜けまくり。ミカヅキモからゾウリムシにジョブチェンジ!」

「い、行ってくるね」

 私は急いでお弁当箱を鞄に仕舞って職員室へと向かいました。

 

「――お」

「おもい…っ」

 先生から渡されたダンボールにはプリントがいっぱい。

「一人じゃ運べないよぅ…」

 ダンボールを下に置き、ポケットの中の携帯に手を伸ばす。

 きっと二人ともご飯食べ終わった頃…。

 あっ。

 電話したらまた高宮さんに怒られちゃう…かな。

 そうだよね、きっと怒るよね…。

「が、がんばれ、睦美っ」

「よいしょっ」

 自分に喝を入れ、ジンジンする指を我慢しながら歩き始めた。

 

――よろよろよろ。よろ。よろよろよろ。

 

 そのときでした。

 フワリと春風のような香りが私を包み込んだ。

 途端にダンボールが軽くなる。

「…え?」

 私の後ろから伸ばされている腕。

 振り返ると。

「一緒に運ぼう」

 そっと、柔らかくて優しい陽だまりのような匂い。

 そして愛らしい――桜のような笑顔。

「えっ…な、な、理姫さんっ!? な、え――きゃっ!?」

 ぐらっ!

「危ないっ」

――どさっ、バサバサバサーッ!

 お、驚いてダンボール落としちゃった…!

 中に入ってたプリントがばら撒かれて…ど、ど、どうしよっ!?

「驚かせてしまってごめんなさい…余計なことしちゃったね」

「杉並さんは怪我、してない?」

「う、うん……え、わっ、わわっ!?」

 な、理姫さんの手が私の方に回されてるっ!

 肩から理姫さんの体温が伝わって来て、それで、それでっ、ひゃぁぁっ!

「よかった…」

「ダンボールまでは支えられなくてごめんね」

――にっこり!

 全校生徒憧れの笑顔が、わ、私なんかに、わ、私だけに向けられてるっ!

 コクコクコクっ

 こ、声出ないよーっ!

「すごいことになっちゃったね」

 理姫さんの手が体から離れ、下に落ちているプリントを拾い始めた。

「………………――あっ!」

「な、な、な、理姫さんはいいよっ! わ、私が全部拾うからっ!」

「ううん、私が余計なことして杉並さんを驚かせちゃったせいだからね」

「ち、違うよ、私がダンボールちゃんともってなかったから、だから、理姫さんはいいよっ」

「じゃあ、二人で拾おう? それでいい?」

 優しい笑顔が溢れる。

 コクコクコク!

 ど、ど、どうしよっ!

 理姫さんと一緒にいるなんて……すっ、すっ、すっごいどきどきするっ!

「あ、じゃ、じゃ、じゃあ、このプリントをねっ」

 散らかったプリントに手を伸ばし掴んだ。

 つもりだった。

 

 ぎゅっ。

 

「あ、あれ?」

 私の手は、理姫さんの手をギュッと握り締めていた。

「……あの杉並さん?」

「これ理姫さんの手?」

「うん」

「…………」

「…………」

「…………ひゃ」

「ひゃわぁぁぁぁぁ~~~~~っ!?」

 な、なななななにしてるの私ーーーっ!?

 理姫さんのスベスベの手を握り締めて…って、ひゃぁぁぁっ!!

「わ、わた、わた、わたたた、私そ、そ、そんなそのそのっご無体なことををを」

 頭の中ぐちゃぐちゃだよぅーっ!!

「別にそんなに慌てなくても」

「けどけどけどっ!?」

「じゃあね…」

「こうすれば大丈夫?」

 ぺとっ。

 理姫さんがもう片方の手を、理姫さんの手を握り締めたままの私の手の上に乗せた。

「さ、ほら、どうしたのかわからないけど落ち着いて。ね?」

「深呼吸だよ、深呼吸」

 優しい笑顔で私の手を撫でる理姫さん。

「…………」

 わ、私……。

「どう? 落ち着いてきた?」

「……しっ」

「し?」

「しあわせ……」

「んきゅ~~~~~~~~………………――――」

 バタンッ!

「え!? 杉並さんっ!? 杉並さんっ!?」