#では、積極的な甘えんぼな佳奈多ちゃんはいかが。
――いつものように長机に座って、仕事をしている僕と佳奈多さん。
例によって寮長は外出中だ。
「……佳奈多さん」
「…」
「佳奈多さんってば」
「ぅん?」
長机で仕事をしているにも関らず、佳奈多さんは僕のすぐ隣にイスを置いて座っている。
しかも。
「…そ、そろそろ腕、離してくれないかな…?」
僕の左腕にしっかりとしがみついて離してくれない!
気持ち良さそうな顔で、僕の二の腕にほっぺたをくっ付けている。
「仕事、したいんだけど」
――きゅぅぅ~~~
「だめ」
ううう…離してくれないよっ。
「右手あいてるでしょ」
右手だけだと書類をまとめられないよ…。
「仕事終わらせないと寮長さんに怒られちゃうよ?」
佳奈多さんから離れようとしたが…。
――ぎゅっ!
佳奈多さんは僕の腕にしがみついて、僕の二の腕にホッペをつけてイヤイヤをしているっ!
今は絶対に離れたくないみたいだ…。
……。
いつもはみんなから畏怖されるほどの存在なのに、僕と二人きりになると途端に甘えんぼになっちゃう佳奈多さん。
一度甘えんぼモードに突入してしまったら、なかなか元の凛々しい佳奈多さんに戻ってくれない。
「…仕方ないね」
僕の左腕をしっかりと自分の胸に抱きしめている佳奈多さんの頭を優しく撫でる。
「~♪」
――ぎゅぎゅぎゅ~~~っ
佳奈多さんは口には出してくれないけど、「好き好きだ~い好きっ」という気持ちを体全部を使って表してくれている。