SSブログ TJ-Novelists

アニメやマンガ、ゲームから妄想したSS(ショートストーリー)を書き綴るブログです。

Traffic Jam Products

Angel Beats! Code : CastOff!

 

 

――くい、くい。

袖を引かれた。

何かと思って振り返ると……。

「お、立華。どうしたんだ?」

「……聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?」

「ああ」

「…………」

「…………」

「…………どうしたんだ?」

「……男性は女性のスタイルを……気にするものなの?」

なぜか目を逸らしながらそんなことを聞いてくる。

どうだろう?

俺は…気にしないかもしれない。

けど男だったら一般的にはそういうところは気にするだろうな。

「気にする奴も多いんじゃないか?」

「……………………そう。ありがとう」

「…? ああ」

そそくさと行ってしまった。

なんだったんだ?

 

***

 

――夜、学校の窓を砕くほどの轟音とともに『その事件』は起こった。

女子寮の半分が吹っ飛んだのだ。

もう少し詳しく言うと、天使領域……まぁ立華の部屋だな。

そこを中心に内側から破裂したように吹き飛んでいた。

俺たち死んだ世界戦線のメンバー、SSSはというと、この日は「オペレーション・ザ・肝試し」をしていたため全員無事ではある。(肝試しで死んだ奴もいたが。もちろん野田だ)

てっきりゆりがやったのかと思ったのだが、

「え、私じゃないわよ? 私ならもっとスマートにやるわ。こいつは気になるわね……」

この顔、マジでゆりじゃないらしい。

なら誰が…?

立華は無事なのだろうか?

……だが、これは事件の始まりの合図に過ぎなかった。

 

***

 

――カーテンが閉められた校長室にいつものメンバーが集結していた。

いつものメンバーというのはこんな感じか。

まずは野田。ハルバード、でかい斧な。そいつを奇声を発しながら振り回している。

続いて木刀を持ってブラブラしている影の薄い藤巻。ゆりに野田とキャラ被りだと言われて凹んでいるらしい。

で、大山。特徴がないのが特徴のはずだが「カッパっておならで空を飛ぶらしいんだ! うわ~僕みてみたいよっ! 藤巻くんやってみてよ、おならで舞空術!」と興奮気味に話しかけている。十分濃いよお前は。「実が出んだろ!」って藤巻はどんな返しだよ。

その横。学食から肉うどんを持ってきてズルズルと食っている松下五段。あ、こぼした。いや、拾って食うのはまずいだろ…。

TKは「KOMANECHI!」と往年のギャグポージングの練習をしている。ちなみにまだ誰も本名を知らない。

スクワットとメガネくいっを交互にやっているのは高松。知的に見えるが筋肉バカだ。

部屋の隅でつったって「あさはかなり…」と言っているのは椎名。クールに決めているが、オスのワンちゃんのぬいぐるみとメスのワンちゃんのぬいぐるみを抱いている辺り女の子っぽさ全開だ。

パソコンをカタカタとやっているオカッパは竹山だ。戦線で最も普通であろう。本人は自分のことをクラ……なんとかと読んで欲しいと言っているが誰一人覚えちゃいない。

「これマジやべぇっすヨ! ステージ上からなまはげ姿で観客席めがけてダイブすれば絶対盛り上がるっすヨ!」「そうだねー」と女二人夫婦漫才をやっているのが関根と入江だ。

関根は生レバーを食い過ぎて腹をこわすキャラだな。一時期「肛門が苦しい」しか言わなかったっけな。

入江のほうは人畜無害そうな顔して天使に告白するガチ方面の百合なヤツだ。誰が何と言おうとも俺は応援している。

あとエレキを振り回して歌っては日向(ひなた)に絡んでいくのはユイ。日向にマイク押しつけんなって。

日向は……あ、キレたな。ユイにコブラツイストをかけている。ここからだとユイのパンツがモロ見えだ。持論だがモロ見えよりもチラ見えの方がいい、そうは思わないか?

最後に俺な。音無だ。

ああ、あと一人忘れていた。

校長の机で某暴走ロボットアニメの司令よろしく組んだ手で口元を隠してしかめっ面をしているのが俺たちSSSのリーダー、ゆりだ。

 

*** 

 

 ゆりの後ろの100インチスクリーンにSSSのマークが映し出された。

緊急ミーティングの開始だ。

 

「もうみんな知ってると思うけど」

ゆりが盛大にため息を付いたあと、声を張った。

「――天使が巨大化をしたわ。高松君、報告を」

ゆりの一言で高松がメガネくいっをしながらゆりの横に立った。

「はい。巨大化した天使は推定17メートル。例の夜にスカートを押さえながら裏の山に向かうのが目撃されました」

……そうなのだ。

あの日の夜。

立華が戦隊物の怪人さながらの巨大化を果たしたのだ。

巨大化は部屋で起こったらしく、その影響で女子寮を吹っ飛ばしたというわけだ。

「なんでもありかよ……」

「日向くんが頭を抱えるのもわかるけど、起きたものは仕様がないの。事実としてうけとめなさい」

大山は目をキラッキラとさせて、

「やっぱり巨大化して襲いかかってくるのかな、ウルトラマンみたいに!」

見た感じ怪獣とか好きそうだもんなぁ。

「天使から能動的に攻撃行動を起こしたことは今までなかった。今回もそうだと考えてるわ」

「で、ゆりっぺ。どうするんだ」と野田。

「そうね……。竹山くん、天使のPCの解析は済んだ?」

「はい、ゆりさんの考えがビンゴでした」

竹山がPCを操作すると100インチスクリーンに天使のスキルや効果が映しだされた。

「今回の巨大化は天使も不本意な事態のようです。天使がAngel Playerの操作を誤って発生したこと――言わばバグによって引き起こされた現象です。それと僕のことはクラ――」

「なんでまた天使はそんな操作を?」

「設定を見ている限りだと、ふーむ…身長を170センチくらいにして少しグラマラスなボディにしようとしていたみたいですね。ガードスキル・メルモとあります。それと僕のことはクラ――」

「へ!? なになに、そんなことできんのっ!? ならぜひこの私めにもっ」と、ユイが食いついていた。

「いやぁ、お前はちんちくりんでいいだろ」

「んだとコラーーーッ!! 乙女はどこまでも貪欲なんじゃーいっ!!」

とまぁ、いつもの如く日向とユイはジャレあっている。放っておこう。

それにしても立華が170センチのグラマラスボディか……。

『――私、ぼいんぼいん。どう?』

…………。

うむ。

まったく想像できん。

「――んでバグって170センチが1700センチと。その解決法は?」

「どうやらこの巨大化ですが『着衣』があると縮まらないようになってしまっています」

カタカタとプログラムを流す竹山。

宇宙語にしか見えないが、他の連中もそんなところだろう。

「恐らくマンガを見て衣服の問題に気づき、その伸縮を入れたけど複雑化してバグったといったところでしょう。PCからの操作は……」

またも画面に宇宙語が流れていく。

「やはり無理ですね。既にプログラムが天使本体側で実行されてしまったため、PCからの解除操作は受け付けないようです。それと僕のことはクラ――」

「ようは『服』が邪魔なのよね」

ゆりの目がキラリと光った。

おいおい、まさか…。

バンと机に両手を置き、ゆりが立ち上がった。

 

「今回は天使を助けるわ」

 

「なんでだよ!」と異口同音メンバーたちから声が上がる。

「天使を助けて恩を売るの。そうすれば――」

肉うどんをすすっている松下五段が頷いた。

「真面目な天使のこと、借りがあるとこちらの要求を飲みやすくなるということか」

「ええ。助けてあげた後に神の情報を要求するわ。向こうも断り切れないでしょ」

「け、けど待ってくれ」

つい声が出てしまった。

「何よ音無君?」

「それってつまり立華……天使の服を脱がすってことか!?」

「そうよ」

それがなに?という顔だ。

コーラを呑んだらゲップが出るなんてあたりまえじゃない?というくらいの顔だ。

「いやいやいや、天使も女の子だぞ。それを脱がすのか……?」

「そうね、脱がすわ。更衣室も17mの女子用に作られてないから、外で脱がすことになるわね」

「な…っ! 待て待て待て!それはマズイだろっ、色々と!」

「じゃあどうするわけ、音無君? 対案なき反論はただのイチャモンにすぎないんだけど、音無君?」

「…………む、むぅ」

「天使は困っている。こっちは方法を知っている。本人に行ったところで外で脱ぐわけもない。ならやることは脱がす。けど――」

ふぅ、と溜息をついた。

「男連中に任せるわけには行かないわ。もちろん――」

ゆりの目が俺に向く。

「今回は私一人でやる。それに夜暗くなってからやるから。これなら多少はマシってもんでしょ?」

「そ、そうだな」

 「けどゆりっぺ、相手は17mだぜ? ウルトラマン級だろ、脱がすって言ったってどうやってだよ」

日向の疑問も最もだ。

「こいつを使うわ」

100インチディスプレイに武装が映しだされた。

「UUM-7マイクロミサイルポッド。破壊力は低いけど多弾頭よ。これで削り取るわ」

こんなものまで用意していたのかよ!?

すごいな、ギルド!!

「――ゆりさん、一つ問題が」

参謀っぽいポジションだが何もすることのない高松が口を開いた。

「現在、天使所在地周辺の広範囲にわたって防衛網が展開されています。こちらをご覧ください」

みんなが「高松くんが最初の報告以外の仕事したよ!?」という驚いていることをよそに、画面に望遠レンズからの撮影であろう様子が映し出された。

「……ぶた?」

「はい。天使は最近ぶたさんのぬいぐるみにハマっていたらしく、ぶたさんによる防衛網を展開しています」

そういやこの前、立華のかばんからぶたのぬいぐるみの顔がはみ出してたっけな。

いつもは「あさはかなり…」くらいしか言わない椎名も「キュ~~~トっ♪」と興奮気味だ。

「やっかいね…。これを抜けていかないと天使までは辿りつけないってわけね」

「だったら俺が……」

……。

ジト目で睨まれた。

「ま、恩を売るためにもあんたたちは今回はお留守番をお願い」

「私だけの秘密任務だからオペレーションというよりコードネームといったところかしら。だから――」

ゆりの口角がニッと上がる。

バンと壁を叩くと同時にスクリーンに大きく名前が表示される。

 

「コード名、キャストオフ!」

「実行は明日2400! それでは各員、私の健闘を祈りなさいっ」

 

――こうして前代未聞の「天使を脱がす」作戦が開始されたのだった。

 

 

***

 

 

無料のAngel Beats!同人の2D弾幕シューティングゲームを作成いたしました!

よければプレイしてみてください!

milk0824.sakura.ne.jp

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186.家にいるときのノリでうまるがきりえちゃんのお膝に座ってしまったようです。【干物妹!うまるちゃん】

186.家にいるときのノリでうまるがきりえちゃんのお膝に座ってしまったようです。【干物妹!うまるちゃん】

 

#シチュ:お家ですっかりきりえちゃんの膝の上が特等席になってしまったうまる。けど、癖がついたせいで……。

 

「いやぁ、くにおくんの大運動会は名作だねー」

「そうですね、師匠!」

プレイしていたゲームを終え、ファミコンの電源を切った。

きりえちゃんと二人でおしゃべりをしながらファミコンをするのが近頃のうまるの週末の日課なのだ!

一息ついてきりえちゃんに目を移すと、あぐらでくつろいでいるきりえちゃんが目に止まった。

こちらをチラリと見たきりえちゃんと目が合う。

おっ、これは……。

いつものようにきりえちゃんにテケテケと寄り……

 

――ストン。

 

あぐらで座るきりえちゃんの脚の間に腰を落とした。

「きりえちゃん〜」

「師匠、いらっしゃい〜っ」

きりえちゃんのふわりとした香りと共に温かな腕に包まれる。

もう一つの最近の習慣。

ゲーム後はきりえちゃんの膝の上に座ってしまう習慣ができてしまった。

このなんとも言えないフワフワとした温もりが実に心地よいっ!

「こらっ! そんなことしたらきりえちゃんに迷惑だろっ」

と、台所からエプロンを外しながら戻ったお兄ちゃんが言うけど…。

 

「にへへ……師匠の抱き心地はさいこうです……にへへ」

「…………」

 

困っているような顔には到底見えない。

というか、なぜか恍惚的?

 

「きりえちゃん、よだれ」

「えっ!? あっ、うっ…ぬはっ!?」

「ふいてあげるね?」

「し、師匠いいですよ!? ……あぅっ……うにゅ……ししょう〜ぅ」

 

「おまえらなぁ。変な癖がついても知らないからな」

「変な癖って何さ、お兄ちゃん」

「何って言われてもな…。夜ご飯ができたから二人ともそっちに持っていくの手伝ってくれ」

「「はーい」」

こうして和やかな休日は過ぎるのであった。

 

***

 

――平日。

体育館の半分が男子、半分が女子というよくある体育の時間だ。

女子の授業は今日はバレーボール。

 

「う、うまるさん、トスです…っ」

「ありがと、きりえちゃん! よぅし――」

タイミングはバッチリ!

ここでっ!

「いくよっ!!」

 

――バスンッ!!

 

うまるのスパイクが相手のコートを貫いた!

「勝者、うまるチーム! ゲームセット!」

『キャ〜〜〜〜〜ンッ! さすがうまるさん〜〜〜っ』

響く黄色い歓声!

「私のハートもスパイクして♪」とか「女が女に惚れるなんて……けどっ!」とか「またしてもうまるさんにやられましたわーっ!」とか色んな賞賛の声が体育館に響き渡っていた!

「きりえちゃん、やったね」

「は、は、はいッ!!」

ゲームが終わると、きりえちゃんはいそいそと体育館の隅に行き、あぐら姿で腰を下ろしていた。

 

ふぅっ、今日もうまる頑張った!

綺麗にスパイクが決まったし、今日はお兄ちゃんに頼んで期間限定博多めんたい味ポテイトでも買ってきてもらおう。いっしっし。

そんなどうでもいいことを考えながら……。

 

「よいしょっと♪」

 

――すとん。

 

腰を下ろした。

いつものように。

 

――あぐらをかくきりえちゃんの脚の間に。

 

 

 

――ボン、トン、トントン……

ボールが落ちて転がる音が妙に響く。

 

 

 

ん?

 

 

 

体育館の音が。

消えていた。

 

 

 

「――きりえちゃん?」

きりえちゃんの顔を見た。

いつもよりも顔と顔の距離が近い。

その顔はまるで宇宙人とネッシーとチュパカブラを同時に見てしまったような顔だった。

「きりえちゃん、どう――…………あ」

 

うまる……。

いま……。

外行きうまるモードだった!!

 

目が点だったきりえちゃんだったけど。

「…………」

ほっぺが赤くなり、

「…………――――」

赤を通り越して蒸気を出し始め、

「…………――――〜〜〜〜ッッッッッッッッ!?!?」

 

きりえちゃんの口がパカッと開いた!

 

「ぬっっっふぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえぇっっっっ!?!?!?」

 

『キャァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンッッッ!!うまるさんが女の子の膝の上にオンした〜〜〜〜っ!!』

悲鳴とも嬌声とも取れる声が体育館を大きく揺さぶった!!

「!!! やっ、ききききききき、きりえちゃん、ごごごごめんねっ!!」

慌てて飛び退くけど後の祭りだ!

「うまるさん、はしっ、はしっ、はし、はしたないですわぁぁぁーーーっ!!」

シルフィンさんがこっちにビシッと指差してきた!

「こ、これは、ついっ!」

「つい!? つい女性の上に座ってしまったんですのっ!?」

「あ、いや、ついじゃなくて、えとえとっ!」

わわわわわーっ! わーっ!

う、うまるどうすればいいのーっ!!

シルフィンさんは恥ずかしそうにプイッと顔をそらしたっ!

「じょ、女性同士でも、その、い、いいと思いますわっ!!」

「そっち!?」

「禁断の愛ですわ…ぽっ…」

頬を赤らめた!! ダメな感じだ!!

「わわわわ、違うからっ! きりえちゃんからも何か――」

「ぬっっふぇえぇえぇえぇえッッッッッ!! ぬっふぇえぇえぇえぇえぇぇぇぇぇッッッ!!」

きりえちゃんは頭を左右にブンブンと振り回しながら奇声を発しているっ!! ダメな感じだ!!

海老名ちゃんならっ!

「わかってるよ、うまるちゃん」

「海老名ちゃん…っ」

海老名ちゃんが笑顔でコクリとうなづいた。

よかった、やっぱり海老――

「百合っていうんだよね、こういうの」

どこでそんな業界用語覚えたのーーーっっっ!!!

「都会っぽいよね」

都会関係ないからぁぁぁーーーっ!!

男子のバスケットコートからも「キマシタワー!」とか「百合ぃ!! 百合ぃ!! 百合ぃ!!!」「落ち着け音無っ!!」とか「田中くんが片手を天に掲げたまま意識を失ってます先生!」とか大混乱が起きているっ!!

ああ、もうっ!

 

「もうみんなっ、きりえちゃんのこと好きだけど、そういうのじゃないんだからっっっ!!」

 

…………。

……。

あ。

また、言葉をちょっと間違ったかもしれない。

 

「……す、すき……?」

さっきまで絶叫していたきりえちゃんが、ポツリとつぶやいた。

そして。

 

「…………きゅ〜〜〜〜〜っ…………」

 

「きりえさんが満面の笑みで気絶しましたわぁぁぁぁーーーーっ!!」

「ふえぇぇぇっ!? ほけんしつ、ほけんしつーっ!」

 

ここに『天使うまる・百合属性疑惑』が正式に持ち上がったのだった。